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「現実とはなにか」 これまでのストーリーは・・・2

その1〜3 パースは、演繹(ディダクション)、帰納(インダクション)に対して、仮定(アブダクション)を導入する。これは、推論として帰納の拡張である。これらをベイトソンのコミュニケーション学習論に位置づける。さらにはヴィトゲンシュタインが日常…

なぜ科学技術は成功したのか 現実とはなにか10

行為系の連続性と可塑性 「行為」による世界との関わりの特徴の一つは連続性にある。たとえば足は「立つ」、「歩く」、「走る」、「蹴る」などのときに作動するわけではなく、絶えず行為している。座っているときは身体のバランスをとっているだろうし、貧乏…

なぜ金玉は「フレーム問題」に陥らないのか 現実とはなにか9

金玉は行為し続ける 金玉は不思議な形をしている。体から垂れ下がった袋。温度が低いときには縮こまり放熱を妨げ、温度が高いときは、広がり、放熱を促進することで、精子を守る温調機の働きをしている、と言われる。男性ならば誰もが知っているだろうが、金…

なぜレトリックは人へ訴えかけるのか 現実とはなにか8

論理とレトリック 最後のキスはタバコのflavorがした ニガくてせつない香り 明日の今頃にはあなたはどこにいるんだろう 誰を思ってるんだろう You are always gonna be my love いつか誰かとまた恋に落ちても I'll remember to love You taught me how You a…

なぜ人工知能は笑わないのか 現実とはなにか7 

「フレーム問題」 人工知能には、1969年、ジョン・マッカーシーとパトリック・ヘイズによって示された「フレーム問題」がある。ダニエル・デネットによる以下のような物語が有名である。 昔、R1という名のロボットがいた。ある日、R1の開発者たちは予備バッ…

「現実とはなにか」 これまでのストーリーは・・・

1 アブダクションとレトリックと真理 http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20080313 2 情報化社会は脱構築する http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20080317 3 快感を訓練する http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20080321 4 成功した性関係 http://d.hatena.ne.jp/pi…

貨幣の魔法とはどういうことか 現実とはなにか6

重層的なコンテクスト コンテクストとはなにか、ということで以前 *1以下のような図を参照させてもらった。 SocioLogic(lovelesszero5.0) http://www5.big.or.jp/~seraph/mt/000108.html 静から動へと階層化されて、とてもわかりやすい図である。先の「ドラ…

「女は存在しない」とはどういうことか 現実とはなにか5

女は「ドラマ(劇)」を好み、男は「ゲーム」を好む 「女性」はムードを大切にすると、よく言われる。これは先の「ドラマ(劇)、ゲーム、テクスト」というコンテクスト分析でいえば、「ドラマ(劇)」を重視するということがいえるかもしれない。「女性らし…

「成功した性関係」とはどういうことか 現実とはなにか4

パースのプラグマティズムマキシマム パースの言語論における功績は、言語記号−概念の結びつきに、「裂け目」を入れたことだ。記号論では言語記号から意味(概念)が決まるには裂け目があり、そこに解釈項を導入することで、意味が決定される、と言うことだ…

快感を訓練するとはどういうことか 現実とはなにか3

僕らはどのように歩いているのか ボクたちは日々当たり前のように歩いている。坂道でも、凸凹道でも、足下に障害物があっても、苦もなく歩いている。走り、飛び跳ねることも問題がない。しかしロボット工学が教えることはこのような当たり前のことがとても複…

情報化社会は脱構築する、とはどういうことか 現実とはなにか2

吉永小百合と優香 かつての映画スターへの熱狂は、いまの人気タレントのものとは違った。彼らは一般の人とは明らかに違う特別な存在であった。たとえば「吉永小百合」がスターであるのは、彼女が特別なスター性を持っていたから、必然である。いわば何度同じ…

アブダクションとレトリックと真理  現実とはなにか1

仮定(アブダクション)による「断絶」 プラグマティズムの祖といわれるパースは、いままでの論理的な推論法である、演繹、帰納に、仮定(アブダクション)を加えた。以下に例を示すと、演繹はa、bからcが推論されるという典型的なアリストテレスの三段論法…

セカイ系のエクスタシー(享楽)

アンチヒーローの不在としてのセカイ系 斉藤環は「戦闘美少女の精神分析」(ISBN:4872335139)の中で、オタク文化に共通するつよい少女像=「戦闘美少女」について指摘している。この「戦闘美少女」の位置というのは、アニメを考える上で重要な存在だろう。…

ネットは市場主義的「コンビニエンスな解決」以外のものを生み出せるか

①「モンスターハンター」はなぜおもしろいのか 「モンスターハンターポータブル 2nd」(ASIN:B000GWKY9Y)にはまっている。リアリティあるグラフィックのモンスターと格闘し狩るというこの興奮はなんだろう。モンハンはアクション性が強いゲームであり、RPG…

ボクたちがマクドナルドへいくのは食事に時間を割くよりも「重要なこと」があるからだ。

なぜ人々は「マクドナル」へ行くのか 最近、コンビニ、ファーストフード、ファミレスなどチェーン店が爆発的に増加し、いわゆる「下町のお店」は廃れる傾向があります。このような傾向は「マクドナルド化(McDonaldization)」と言われ、効率最優先による人間…

なぜ「デスノート」はセカイ系ではないのか

id:genesis 「なぜ「デスノート」はセカイ系ではないのか」*1 *2を拝読いたしました。セカイ系の構図把握については異論無いのですが,最後に展開しておられる『デスノート』への適用については不明瞭な印象を受けました。 pikarrrさんは「外部の産出、そし…

なぜ「デスノート」はセカイ系ではないのか(後編)「死神」は内部を再生する

道具の呪術性(フェティシズム) さらにセカイ系の「戦闘美少女」の特徴に、道具性がある。「銀河鉄道999」のメーテル、「攻殻機動隊」の素子、「最終兵器彼女」は機械であり、「エヴァンゲリオン」のレイはクローンである。 その他「戦闘美少女」は兵器で武…

なぜ「デスノート」はセカイ系ではないのか(前編)「戦闘美少女」は享楽する

映画「デスノート」の虚構としてのリアリティ 映画「デスノート」を見た。マンガはコミックで読んでいたが、映画化はむずかしいのではと思っていた。名前を書くことで人を殺せる死のノートを手に入れるとどう使うかという「正義とはなにか」という大きなテー…

続 環境問題にはなぜリアリティがないのか(全体) 

1 環境問題という闘争 2 環境コントロールという下部構造 3 グレイゾーンという闘争の場 4 自然主義的闘争 5 大きな内部と小さな内部の共犯関係 内部(社会)・・・倫理 心、形而上学(人類学機械)、互酬(贈与と返礼)、 規律訓練権力、神話的暴力、…

ネットと社会はなぜ「断絶」するのか(全体) 

1 「ボロメオの結び目」としての社会 2 愛と憎しみのネット社会 3 純粋略奪関係というバランス 4 透きとおった「帝国」 5 純粋略奪の快楽 6 終わりなき「断絶」 7 YouTubeの事例

Googleはなぜ「世界征服」をめざすのか その2 「機械論の欲望」 

素朴な「ネットの欲望」 「ウェブ進化論」 梅田望夫(ISBN:4480062858)は反響を呼んでいるようです。確かに面白いし、ネットでなにが起こっているかよくわかります。しかし「世界政府」など「危険なこと」も書いているにもかかわらずに、「素朴な好意論」が…

欲望論パースペクティブ

1 「生と死」の断絶と解体と救済*1 「力としての生」と「知としての死」生と死において重要なことは「個」ということだ。たとえば、僕たちの内部では今も多くの細胞が「死んでいる」。しかしそれこそが僕たちの「生」を支えている。ここでは、「細胞」を「…

サルでもできるヘタレ化 <なぜ「ヘタレ化するポストモダン」なのか? その12>

ヘタレは遊ぶ 祭りの楽しさは非日常性であり、反復からの逸脱である。そこに現れる差異(無垢)を消費するのである。しかしこの無垢は管理されたものでなければならない。自らに降りかかる偶然の災害などのように本当の無垢では祭りにならない。だから2ちゃ…

ヘタレイズムについて

ヘタレ化にはまっている今日この頃です。それはいままでの思考が「ヘタレ化」に集約するからです。今までの主なテーマ「神話なき神話の時代」、「2ちゃんねるはポストモダンを越えていく」、「まなざしの快楽」、「溢るる汚物」、「無垢への欲望」などなど*…

ヘタレはネットで覚醒する <なぜ「ヘタレ化するポストモダン」なのか? その11>

「マトリックス」と「電車男」の相似 映画「マトリックス」は、ヘタレの悲哀を描きました。動物化し、豊かさの中で日々楽しく生きるマトリックス世界で、本当の意味を求めて(ヘタレて)落ちた「現実の砂漠」。この構図が、世の隠れヘタレに共感を呼びました…

ヘタレたち 2 <なぜ「ヘタレ化するポストモダン」なのか? その10>

「遊び」という「小さな不自由」 欲望とは、不自由への欲望である。その不自由がテクノロジーにより消失している。あるいはデーターベースによって、利便化されている。僕たちが直面しているのは、不自由が消失する不自由である。満足を享受しながら、不自由…

ヘタレたち <なぜ「ヘタレ化するポストモダン」なのか? その9>

繋がり系ヘタレ 2ちゃんねらー かつてのような反体制運動へ向かう「大きな物語」もなく、「小さな物語」の世界で「動物」としてまたーり暮らしていくはずだった。しかしめまぐるしい価値の転倒は、「安心という反復」へ引きこもらせ、小さな檻の中で無垢が…

無垢欠乏の時代 <なぜ「ヘタレ化するポストモダン」なのか? その8>

無垢(フロンティア)欠乏の時代 簡単にいえば、現代は「無垢(フロンティア)欠乏の時代」といえるだろう。「大きなこと」はやり尽くされ整備され、泥にまみれず歩けてしまう。無垢の欠乏は僕らに耐久的な強度を強いる。簡単にいえば、動物園の動物的な「強…

「もはや事件に会議室も、現場もないんだ!」 <なぜ「ヘタレ化するポストモダン」なのか? その7>

「もはや事件に会議室とか、現場とかないんだ!」 「踊る大捜査線」で、「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ!」というとき、それはプロフェッショナルな宣言である。そしてここには会議室(エリート)/現場(プロフェッショナル)…

ヘタレサイクル <なぜ「ヘタレ化するポストモダン」なのか? その6>

「プロフェッショナル」という倫理 ボクは倫理のテーゼとして「「健全」な無垢の欲望に「健全」な精神は宿る」と示しました。 彼らに無垢が欠乏しているのは、わかる。しかし無垢は「健全に」消費しなければならない。そして無垢の健全な消費は無垢を消費す…