お勉強
第二話 赤い夕陽の曠野・満州 昭和五〜七年 日本はこのころから一歩一歩 、恐る恐る足を踏み入れていった。けれども歴史のなかに生きていた当時の人びとは 、こうした年表的解説どおりに明々白々として事態を認識していたわけではない 。政治的 ・軍事的な進…
第三章 慈悲の観念の歴史的発展 慈悲は人が他の人に対して行うもの そもそも慈悲とは、始めは人が他の人に対して行うはたらきであり、物質的方面でも精神的方面でもひとを救って、それを機縁として最高究極の境地に至らしめる純粋の心情であった。かかる心情…
忌みの思想 「忌み」の意識に基本的に含まれる浄・穢の観念は、聖と俗という表現になおすこともでき るが、本来の「忌み」にはみずからの穢れを去って聖に近づこうとすることと、穢れを避け てみずからの聖性を維持しようとする二つの側面があり、これらは表…
1 寺檀関係の形成 十七世紀前半の半檀家的寺檀関係は、十七世紀後半、農民の家が広汎に形成されてくると、その家結合の精神的紐帯としての祖先崇拝を生み、その菩提寺として特定寺院との関係が固定化することによって、一家一寺制の寺檀関係が形成され、そ…
14世紀 南北朝の内乱を画期として荘園領主の力が衰え、在地領主の進出が顕著になる。。 名主加地子(かじし)を支払える小農民経営が多数現れたため、名主上層は「地侍」として農民の性格を徐々に薄めて地主化。 安価な鍬の普及(製鉄技術の革新)、稲の品…
16世紀前 正月と盆の行事は、現代の私たちの心意では、一方は神道的、他方は仏教的と対照的な性格をもっているが、祖霊崇拝と田の神信仰のさらに基底に、共同体のなかに住みついたり外から共同体が狙っている、災厄をもたらす亡霊をおき、それを悪霊として…
第2章 近世社会と朝廷・天皇 この「天下」が、日本の国土の全体を意味し、「天下」を掌握することが日本の国土の全体に政治的秩序を与えることを意味したのは、戦国の乱世においても日本社会には古代律令制国家以来の長い歴史をもったなんらかのまとまりが…
石田梅岩 (未来への歴史)作者: 森田 健司出版社/メーカー: かもがわ出版発売日: 2015/05/29メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 石田梅岩の職分主義 士農工商は、天下が治まるために役立ちます。その中の一つでも欠けてしまったら、世の中はうまく動…
百姓身分と家 大藤修 近世前期までは、死後恒久的な石塔墓標を建立され、戒名を与えられ、位牌を作られて個別に供養祭祀されたのは、上層の家の家長夫婦に限られていた。十七世紀後半以降にあると、墓標、過去帳に記された戒名の数、位牌も急増する。このこ…
日本倫理思想史(一) 和辻哲郎 そこで問題は、ヨキ心、アシキ心というごとく道徳的なヨシ・アシ、善悪の価値をして把捉したかという点に集中する。このことを解決する鍵は、既述の祭事的団結ということのほかにないであろう。祭事による宗教的な団結は、精…
このような「天道」の観念を表明したものとして、小田原城を本拠地として関東を支配した北条氏の始祖、北条早雲の遺訓として伝えられた「早雲寺殿廿一(じゅういち)箇条」がある。 ・・・まずここに記された「天道」の観念の四つの要素に注目したい。これは…
転写元 http://www2.saganet.ne.jp/namo/sub11.htm#tannnisyou.11 他力本願、自力批判 (三) 善人でさえ浄土に往生することができるのです。まして悪人はいうまでもありません。 ところが世間の人は普通、「悪人でさえ往生するのだから、まして善人はいうま…
本当の言葉は華美ではなく 、華美な言葉は本当ではない 。本当の弁論家は弁舌が巧みではなく 、弁舌が巧みな者は本当の弁論家ではない 。本当の知者は博識ではなく 、博識な者は本当の知者ではない 。聖人は何もためこまない 。なにもかも人々に施しつくしな…
老子 孔子のアンチテーゼ、無の哲学 無為、無知、無欲。道は無、無こそ万物の根源 知識が自然を見失わせる 荘子 万物斉同・・・知識を否定し、ありままの世界、自然世界ではあらゆる対立差別は消失し、すべてが斉しく、すべてが同じ。 万物の始め、根本は有…
人口から読む日本の歴史 鬼頭宏 講談社学術文庫 ASIN:B016O8V0HS葬儀と日本人 位牌の比較宗教史 菊地章太 平凡社新書 ISBN:4480066179武士と世間 なぜ死に急ぐのか 山本博文 中公新書 ASIN:B00LMB0A5Q葬式仏教の誕生−中世の仏教革命 松尾剛次 平凡社新書 ISB…
縄文時代 ・60万年以上前 日本列島に人が住み着く ・1万年前までの氷河の時代(寒冷な氷期と比較的温暖な間氷期が何度も繰り返し)から温暖化へ ・20歳代の死亡がほぼ半数。50歳まで生存する人は少ない。人口維持のために複婚制 ・早期 2.0万人 ・…
中国 前三世紀〜二世紀 戦国時代末〜漢代 「儀礼」、「礼記」 儒教が冠婚葬祭の基準を構築。 招魂の儀礼(死者の霊魂を呼び戻る) 11世紀後半 宋代朱熹 朱子学 人は誰でも学んで聖人になりうる。 「家礼」。冠婚葬祭の儀礼を簡略化して、庶民に開放。 没後…
近世以前 世間 「世間」は仏教的な世界の意味か世の中一般を指すことが多い。 「万葉集」の中に「世間」を作った歌が45首。漠然と社会全体をあらわす。 中世から近世 世間 個人に対して圧力をかける厳しい「世間」が形成されてきた。 統一政権が成立し流動…
古代・中世 古代・中世の葬儀 ・庶民の間では、死体遺棄や風葬が一般的 ・穢れから死にそうになった病人が捨てられる。貧しい人は自ら歩いて川原へ。 ・貴族は土葬、火葬できちんとした葬送が行われていた。 貴族たちも都のはずれに死体を埋めて顧みない。 …
1)15世紀以前 惣村が成立する前の村 法的・政治的主体として公認されていない 村をいくつか合わせて枠組みである庄や郷の単位で領主と交渉 2)15世紀後半から16世紀 戦国時代 気候が寒冷化し飢饉が頻発、さらに戦国の争乱 <惣村の成立> 自ら武力…
大乗仏教 クシャーナ帝国、商人層に人気、農民は少ない 「仏心とは大慈悲これなり」 自分が彼岸の世界に達する前に、まず他人を救わなければならない 菩薩 利他行を実践する人、求道者 あらゆる人を救われることをめざす 信仰を強調する思想 古代社会が崩壊…
衆生(しゅじょう)・・・ 生きとし生けるもの 生存領域・・・生きとし生けるものの輪廻する範囲 天上、人間、餓鬼、畜生、地獄 ※仏教は、老いと死を怖がりすぎ問題 古代日本に大きく影響した。むしろ現代人の方が、死んだらそれまでと、開き直ってる? 苦し…
3 ユダヤ−キリスト教 第十四章 王と預言者の時代のイスラエル宗教 (ユダヤ教の)預言者がまずわれわれを驚かすのは、彼らの祭祀批判、そして宗教融合、つまり火難の影響、彼らのいう「姦淫」、を攻撃する際の彼らの激しさである。しかし、彼らが非難してや…
2 ギリシア宗教 第十章 ゼウスのギリシア宗教 ユダヤ・キリスト教的見地からすれば、ギリシア宗教は悲観主義をその特徴としているように思われる。人間の存在は本来的にははかなく、苦しみ多いものなのである。・・・ギリシア人が人間の運命のかはなさを意…
ミルチア・エリアーデの「世界宗教史」1〜4巻について、主に心身二元論を中心に抜き出した。ここには輪廻が深く関係している。農耕に根ざした宇宙的宗教において不死というのは重要なテーマである。魂の輪廻思想は新たな展開を生む。魂が肉体と切り離され…
沈黙の宗教――儒教 加地伸行 (ちくま学芸文庫) ISBN:4480093656 第1章 儒教の深層、宗教性 儒教文化圏において墓が重視される理由 短い人生を生きる者のための安心できる死生観を宗教者に説いてもらい、死の不安や恐怖を取り除いてほしいと要求がでてくるの…
南北朝の混乱と朝鮮半島のパワーバランス 「魏志倭人伝」として有名な、卑弥呼が魏に貢ぎ物を送る前、漢時代の1世紀頃から日本列島から中国への貢ぎ物の記録は始まっている。日本が縄文時代だったころ、すでに中国には巨大な国家があった。日本人は朝鮮半島…
(ISBN:4061596683) 禅とははたして仏教徒の色々の教訓にみるような、高尚深遠な知的、形而上学的は哲学大系であるのであろうか。・・・禅はまったく論理や分析の上に築かれた哲学ではないのである。いずれかと言えば、禅は論理の正反対である。すなわち論…
(ISBN:4062134527) 金銭経済はもっと大きな富の体制の一部でしかなく、ほとんど注目されていないが、「生産消費活動」と呼ぶものに基づいて世界的で巨大な非金銭経済から提供された価値に依存している。・・・経済統計の対象になっているものだけから富が…
「社会は等価交換を嫌う。」質的に異質なものを量的に等価にして交換するというのは、「命がけの飛躍」であり、社会的信用、政治的権力によって「空間」を満たそうとする。自由主義経済学では、「空間」を満たすのは「神の見えざる手」であり、このために完…