「初音ミク」はオタクを越えられるか その1

pikarrr2007-12-21

VOCALOID2初音ミク

VOCALOID http://www.crypton.co.jp/mp/pages/prod/vocaloid/


「録音された人間の声を元に、極めてリアルに音声合成された歌声」…、フォルテシモやクレッシェンド、ビブラートまでも的確に表現し、歌詞に合わせて歌い方や声質も変化させながら歌う世界最先端のボーカル音源が、このVOCALOID2ボーカロイド)です。まるで実際に歌手をプロデュースしているような感覚で歌を歌わせるこのVOCALOID2は、全く新しい可能性を持ったバーチャル・ボーカリストと呼べるでしょう。

VOCALOIDのリアリティの秘密は、長年にわたってYAMAHA株式会社にて研究開発されてきた“Frequency-domainSingingArticulationSplicingandShaping”(周波数ドメイン歌唱アーティキュレーション接続法)の最先端技術が採用されています。

音符(メロディ)と歌詞を入力する方法は、とても簡単です。一般的なピアノロールにてメロディーを打ち込み、歌詞を日本語で入力するだけ。発音時の強弱を変化させたい場合や、ビブラートを付けたいときも、音符をダブルクリックするだけで簡単にエディット出来ます。

もちろん、ダイナミクス、声質などは細部まで徹底的にエディットすることが可能ですので、操作に慣れれば慣れるほど、より人間らしく歌わせる事が可能です。

VOCALOID2初音ミクは、PCにメロディーと歌詞を日本語を入力すれば、まるでアイドルのように、歌わせることができるということです。

歌詞を書くことは、一度は誰もが行う。あるいはそれをギター、ピアノなのでメロディをつけることもあるだろう。さらにPCの発達によって、一人で打ち込みで多様な音楽を作ることができるようになっただけでなく、それが現在安価に容易にできるようになった。このような音楽を作ることが可能性は広がったにも関わらず、ネットで公開される音楽は思いの外すくないのはなぜだろうか。




誰もが小室哲哉になれる


打ち込みによって作られたインストゥルメンタルゲーム音楽などのようにアップされることがあるが、一般受けするものではない。音楽チャートをみてもわかるように、基本はそこに人のヴォーカルが入ることが重要である。ヴォーカルという主となる声がないインストゥルメンタルは捉えにくい。さらにはヴォーカルには詩という言葉が乗ることで、より捉えやすい。

では、インストゥルメンタルに自らの歌声を入れるか。これは難しい面がある。打ち込み可能であっても声はうまさ、表現力が求められる。ここが大きなハードルとしてある。

これは素人だけの問題ではない。たとえば小室哲哉は打ち込みによって曲を作りつつ、それは女性歌手に歌わせる。聞いた話では、小室哲哉は表現豊かなヴォーカリストよりも、高音で機械的な歌手を選んだという。極端にいえば、ヴォーカルも一つの機械として扱う。

このような形態は、小室哲哉だけではなく、打ち込み音楽が全盛になる中で一つの流れになってる。曲作りを手がける男性とかわいくて女性ヴォーカリスト。エヴリリトルシングから、最近ならミヒマルGTなど、多くにおいてこのような形態をとっている。

このように考えると、初音ミクの一つの可能性が見えてこないだろうか。素人はこのような女性ヴォーカリストを手に入れることができない。そこに初音ミクが現れたのである。そこに誰もが小室哲哉になれる可能性がある。先に見たように、小室哲哉が女性ヴォーカリストを選ぶように、素人が女性ヴォーカリストを作り出せると考えたときに、その可能性は広がるのではないだろうか。

たとえばテクノ、トランスなどの打ち込み系の音楽は、現在の商業主義のポップスと大きく異なり、もともと国境がなく、なおかつ誰でもができるという草の根?的なものである。ここにミクネタがのっかり、世界に配信され、受け入れられることはとても容易であるのかもしれない。



VOCALOID2はオタク性と切り離し可能か


しかし初音ミクの流行は、このような音楽的な流れよりも、むしろオタク系からはやったことは重要かもしれない。

ヴォーカロイドの技術は、ミクにはじまった新しいものではないが、VOCALOID2というように、このような技術は検討され、今回、ある程度聞くに耐えるなめらかさを手に入れたということだろう。いやさらに声だけではわかりにくところに、オタク的なわかりやすいヴィジュアルが付加されよりわかりやすく、したしみやすいものになっている。

そして今回のブレイクは、ミクという「アニメキャラの劣化コピーを必要としたより柔軟にネタとして取り込めるニコニコのような場があり、そして。ミクという「アニメキャラの劣化コピーによって、オタクが本来持つたくましい二次工作性を刺激したということが重要である。

そのように考えると、アニメキャラの劣化コピーと切り離した、ヴォーカロイドの技術に未来はあるのか。あるいはオタクの二次創作性の繁殖力は、世界を席巻しつつあり、その主流にのっかったヴォーカロイドは、従来の音楽創作のあり方までも返る可能性をもつのか。