世界を私欲で操ることはとても簡単になった 広瀬隆「資本主義崩壊の首謀者たち」

pikarrr2009-06-18

世界は形而上学的に巨大か


日本人は「世界」というとあまりに巨大であり、あまりに多様であり、理解を超えた形而上学的なイメージを持ち、そこで支配されている法則は自然現象のような自律的なシステムであるように感じる。それは現代の世界市場についても同様だろう。

しかしアメリカ人は少し異なるのではないだろうか。彼らは自分達が世界の中心であると考えている。だからアメリカで一番は世界で一番である。これが格差が激しいアメリカの富裕層になればなおさらだろう。財力とともに権力をもち、さまざまなアメリカの業界のトップである彼らはすなわち世界のリーダーである。そしてその権力が世界規模に及ぶように行使されることはそれほど驚くことではないだろう。限られた人々のわずかな私欲が「世界」に多大なる影響をあたえる。

日本人は日本国内の組織、たとえば企業内、政府内のリーダーが日本国民に大きな影響を与えることは当たり前のように想像できるが、同じことが世界規模で起こることは想像できない。




世界不況は「金融腐食」


たとえば今回の世界中を巻き込んだ金融破綻の原因が一握りの人々の私欲が大きな影響を与えたということは、安易に原因を「誰か」に特定する幼稚な形而上学だろうか。世界経済というのは、経済学者たちが語るように自律的な経済システムであり、不況はまるで定期的に起こる天災(自然現象)のような仕方がないものだろうか。

広瀬隆が著書「資本主義崩壊の首謀者たち」において今回の不況は「金融破綻」ではなく、「金融腐食」であるとして特定の人たちを名指しするとき、多くをボクは支持をしたいと思う。この陰謀説のすべてが真実かどうかは別にしても、世界は日本人やエコノミストたちが考えるような巨大すぎる神の領域などではなく、もはやわずかな私欲で操ることは可能なほど小さいのである。そしてこれほど世界を小さくしたのが資本主義である。経済は経済学者が考えるように複雑な経済学であるとともに限られたプレイヤーによる政治的な領域である。

世界が小さいという事実は多くの示唆を与える。本当にわずかな私欲によって世界は簡単に暴力的に破壊され、人類は滅亡する。

エコノミストたちが指摘していない重大なポイントがあります。それは、これら金融界の第一線で取引する人間たち(ディーラー)の多くが、歴史的にファミリーを構成して、先物取引などのデリバティブ価格を「集団的に操作している」ことです。それらの取引きは、業界全体の上層同士が通じ合ったファミリー関係を、利権関係とから成り立つもので、明らかにすべてが暗黙のインサイダー取引であると断言してよいでしょう。・・・このシンジケートを、国際金融マフィアと呼んでいます。

大航海時代に入ってから、かつて全世界を植民地にした欧米人は、大西洋を挟んで、一つの大きなファミリー関係を持っています。アメリカ人という人種はなく、ほとんどが新大陸をめざしてやってきた移民と、その奴隷の子孫です。そして、狭い島国に生きる日本人が想像する以上に、自分のルーツ(出自)に大きな意味を感じ、それをアイデンティティーという言葉で表現します。・・・国際金融マフィアの場合は、・・・金融界の独善的な思考の土台となっているのが、系図のもう一つの意味です。

金融物語で主役を演ずる大物の大半に、一つの共通点があります。ロバート・ルービン(財務長官)、サンフォード・ワイル(シティグループ創設者・会長)、アラン。グリーンスパンFRB議長)、ヘンリー・キッシンジャーキッシンジャー・アソシエーツ会長)、ポール・サミュエルソンデリバティブの源となったノーベル経済学賞受賞者)、ローレンス・サマーズ(財務長官)、リチャード・ファルド(リーマン・ブラザーズを破綻させたCEO)、ジェームス・ウォルフェンソーン(世界銀行総裁)、マイケル・デヴィッド=ウェイル(ウォール街長者第一位のラザール・フレール会長)、ペニー・ブリッツカー(オバマの金庫番)、ジョージ・ソロスヘッジファンドの王様)たちが、みなユダヤ人です。・・・気をつけなければならないのは、ここで言うユダヤ人が、金融界の大物であり、ユダヤ人全体を代表するのではなく、世界最大の金融財閥ロスチャイルドの息がかかった人脈だということです。P170-174


「資本主義崩壊の首謀者たち」 広瀬隆 (ISBN:4087204898


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