ネット論壇は復活したのか ツイッター論壇の怪

pikarrr2010-05-01


論壇の「復活」 ネットが開く新しい空間  批評家 東浩紀
2010年(平成22年)4月29日木曜日朝日新聞
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/10554/1269256935/742-745


論壇が滅びたと言われて久しい。たしかに言論誌の休刊は相次いでいる。新聞の影響力も下がっている。けれども筆者としては、むしろいま論壇は「復活」しつつあるという実感を抱いている。ただしその中心は出版ではない。ネットである。

突破口となったのは、最近はテレビや週刊誌でも話題の新サービス、ツイッターである。ツイッターは1回140字のミニブログで、議論には向かない。にもかかわらずその普及が重要なのは、それが、すでに存在するサイトやブログへの高効率の「ポインタ」として機能するからである。いままでは愚痴の海に埋もれていた魅力的な言論が、ツイッターの出現によって可視化され組織化されている。

日本の政治的言論の重心は、いま出版からネットへ移りつつある。まずはその現況を押さえておこう。佐々木俊尚は『マスコミは、もはや政治を語れない』という挑発的なタイトルの著書で、その変化の経緯を詳細に辿っている。記述の多くはブログやツイッターからの引用だが、それだけにネット論壇に親しみのない読者には参考になるだろう。




ツイッターの唯一の新しさはマイナー知識人にマスメディアを用意したこと


ツイッターの恩恵に預かった人々にマイナーなジャーナリスト、知識人がいる。いままで大手メディアから相手にされず2ちゃんねるで発言できなかった彼らはツイッターによってはじめて発言力をもつ。彼ら特徴はネット創世期によく言われたことの焼き回しで大手マスメディア批判しマスターを気取る。http://twitter.com/pikarrr/status/12327850729



ツイッターはネット論壇を逆行させている。一部知識人がツイッターがすごいといっていることのほとんどは2ちゃんねるなどの既存ネットメディアで達成されてたものである。唯一、ツイッターの特徴はマイナー知識人用のマスメディアを用意したことだ。

大手マスメディアに相手にされず、2ちゃんねるでは罵倒され発言できず、いままでブログで細々とやるしかなかったマイナーなジャーナリスト、知識人にマスメディアとしての発言の機会を与えた。すなわちネット上、さらにはマスメディアへの「ポインタ」の位置を与えつつある。




ツイッターは従順なネット住人を訓練する


コジェーブはアメリカの高度成長期の消費文化をみて、人は豊かに消費により充足して、欲望がなくなり動物化するといったか、ツイッターこそが究極の動物化装置かもしれない。つぶやくだけで何かいった気になり充足して思想は消費される。もはやつぶやきでなくさえずりだ。http://twitter.com/pikarrr/status/12141739125



人々は他者を回避したい訳でなく他者と関わりたいが、関わるときの煩わしさを回避したいのだ。その意味でネットはコンビニエンスな他者を提供する装置であり続けた。そしてツイッターはその意味で極まっている。あまりに成功している故に五十年先の無縁死に怯えてしまう。http://twitter.com/pikarrr/status/13051219149



彼らはツイッターの問題点を積極的に語らない。140字に抑圧された言論、アディクトするコメント、発言の内容ではなく有名度のバロメーターが多くのフォロー数を決定し影響力を行使する不平等など。彼らがツイッターでマスメディアを気取れるのは、ツイッターが作りだした従順なネット住民によるのだ。

Twitterは良すぎるのかしら? Kathy Sierra
http://anond.hatelabo.jp/20100423202625


私はTwitterが怖い。これだけ人気があるサービスだけれど、私は少なくとも三つの問題点を見て取れる: 1)Twitterは心理学にいう「間欠的不規則報酬」のほとんど完璧な実例である。これはスロットマシンが人を惹きつける仕組みと同じ。 2)Twitterを使うことで得られる強力な「人とつながっている感覚」は、脳を騙して「何か有意義な社会的交流を行っている」と思わせてしまいうる。・・・ 3)Twitter「常時マルチタスク状態」の問題を悪化させる要因の一つであるーーもしかしたら他のものよりもっと強力かもしれない。Twitterをしながら(もちろん、emailでもチャットでも同じ)、深く考え込んだり、フローの状態に入ったりすることはできない。


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