なぜドラマ「家政婦のミタ」の結末は退屈なのか 日本人の円環幻想

pikarrr2011-12-25


史上5位!家政婦のミタ最終回40%
http://www.asahi.com/showbiz/nikkan/NIK201112230009.html


松嶋菜々子(38)が無表情な家政婦を演じ話題の日本テレビ系ドラマ家政婦のミタは、21日放送の最終回で平均視聴率が40・0%(ビデオリサーチ社調べ、関東地区)だったことが22日、分かった。今年放送のテレビ番組の最高視聴率で、現在の調査方法になった1977年(昭52)以降、NHK大河ドラマ連続テレビ小説を除いたドラマでは歴代5位タイ。娯楽形態が多様化した現代にマークした驚異的な数字に日本テレビ側は「テレビの可能性」をアピールした。関西地区の視聴率は36・4%。

40・0%が見た。番組占拠率は52・5%で、テレビをつけていた人の半数以上が見ていた。最終回では、夫、長男を義弟の放火によって亡くし、笑顔を失った松嶋演じる家政婦の三田灯がついに笑った。瞬間最高視聴率は、午後11時0〜3分の4分間で42・8%。笑った後、三田が阿須田家の元からバスに乗って去るシーンだった。

ドラマ家政婦のミタはなぜ面白いのか  金こそ最強のヒーローである 
http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20111208#p1


ミタさんは金の対価としてしか働かないし、さらに金を通してしか関係しない。ただし金を払えば一気に問題を解決してみせる。すなわち徹底的に「商品」であろうとすることはまさに現代の「真の」ヒーローです。ヒーローは金ではなく正義で動くという言説に隠された真実、ヒーローの快感とは貨幣交換のメタファーである。すなわち現代において、金こそ最強のヒーローであることを暴露しています。

・・・ボクは現代の新たなヒーローとして、パート2も作られるのかなと思っていました。いまの家族が再生されて、またミタさんが新たな家庭へ派遣される。しかし製作側の考えは違うようです。続編は作らず、本編で完結させるということです。

ミタさんをヒーローから人間に戻すということでしょう。震災後の再生を意識したみたいなことでしょうか。この挑戦に興味はありますが、もったいない気がします。セカイ系シンジのあとをつぐヒーローとして、「カヘイ系ミタさん」の需要はまだまだ高いと思うのですが・・・

家政婦のミタ最終回みた。ん〜ヒネリないなあ。家族の「(贈与の)円環」で丸く収まって、ミタさんは去っていく。結局、ミタさんは「他者」のままか。ミタさんの救済を楽しみにしていたのに。

最近の日本人は円環恐怖症だよな。とにかくドラマは最後、円環を美しく閉じることがルールになっているようだ。閉じないと不安からテレビ局にクレームがすごいんだろう。いくら隠しても現実の不条理さは変わらないのに。

原発にしろ、人災、人災うるさすぎ。どー考えても天災だろう。天災の不条理に耐えられずに、人災という円環に引き込んで、誰かに負債を清算させようと吊し上げる。社会保障にしても、国民全体で円環を閉じようとするから社会保障費が増えるいっぽうだ。そのツケは物言わぬ未来の「他者」へ押しつける。

世界の人々は不条理をしっかり受け入れて生きている。日本人もこの世界では、偶発的に誰かが犠牲になるという現実を受け入れないと。だからガラパゴス化する。

「合法的な享楽装置」として一般的なものが「祭り」でしょう。「祭り」そのものは社会に埋め込まれたものです。たとえば神に祈り、神へ贈り物を捧げるというのは、自然の恵みを贈与されたことへの返礼であり、今後も継続するための贈与です。これによって贈与の円環としての社会(象徴界)に神を引き入れています。そして共同体の秩序を確認し、結束を強めるものです。


なぜオタク第三世代は難民化したのか 動物化論の限界 その2  http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20080723#p1


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