日本人の勤勉のゆくえ

日本人の職分論


日本人から仕事取るとなにが残るのか。仕事以外のいろんなものが残るだろう。それは日本人に限ったことじゃない。でも日本人にとって仕事は特別だ。なぜならやりがいがあるから。仕事へのやりがいとはなにか?やりがいとは職分である。日本人には互いに職分を認めあう慈悲の文化がある。

西洋が奴隷文化として発達したのとは違う。働かないことを上等として、働くことを下等な奴隷仕事と考えた。日本人は職に日本人として、日本人のために、誇りを持ち、責任を持ち、やりがいを持つ。現に作業者においてもしかり、責任を持つ、任し任される。

ひよっこhttp://www.nhk.or.jp/hiyokko/のみね子はラジオの組み立て工場のライン行員だ。貧しい実家に仕送りするために東京の工場で働いている。彼女の目的は一番はお金を稼ぐことだ。彼女は電気屋に並ぶ自社のラジオを誇りに思う。自分が関わった製品を人々が購入し自分は世間の役に立っている。外国製品と競争が激しくなっているらしい。もっと頑張らなければ。それが職分である。

たとえば家庭生活において動くお金は十万円単位だ。しかし会社において、動く単位は千万円、億円単位だ。装置、機械、システム、人員。職は世の中につながり、大きな影響を与える。そこに日本人としてのそれぞれの役割があり、責任が生まれ、やりがいが生まれる。仕事は世界に繋がる通路だ。だから楽しいし、人生を賭ける価値がある。




日本人の勤勉はどこへいくのか


しかし状況は変わりつつある。職から労働に変わりつつある。労働は対価に対する作業をこなすことを求められる。作業はマニュアル化され、人員は簡単に代替可能になる。その大きな理由の一つが第三次産業化だ。第二次産業の機械化ではまだ労働者には熟練が求められた。優秀な労働者が機械を操ることで、作業効率が改善した。そのために熟練労働者を囲い、年功序列、終身雇用が成立した。

しかし第三次産業のサービス業では、それぞれの客への個別対応であり、人海が求められる。それを効率化するには、作業をマニュアル化して、どの作業者でもできるようにして、熟練化による賃金上昇を抑えることが求められる。そしてさらには、ITによるセルフサービス化による人員を削減する。ここでシステムを設計するクリエイターの高賃金者と、単なる時間作業を行う低賃金者の二極化が起こる。正社員と非正規の二極化がここにある。

しかしさらには正社員なら勝ち組か。そう単純ではなさそうだ。第三次産業、サービス商品の移り変わりは早い。流行に左右されるために、会社の収益も安定せず、正社員も安泰ではない。いつリストラに合うかもわからない。リストラされなくても、会社内の移動など。残業時間の短縮も、無駄に働かされなくてすむと喜んでいられない。正社員さえも、業務の効率化、マニュアル化が求まられる。もはやかつての第二次産業を基盤とした雇用の安定、職の熟練、サービス残業してでも会社のために、世のためにという幸福な時代は過ぎ去りつつある。

戦後の高度成長期までは、多くが第一次産業で土地に根ざして肉体労働でつらいながらも、自らの土地に根ざし職を全うしてきた。そして高度成長期には第二次産業で終身雇用として職の安定が保障されて職を全うしてきた。しかし高度成長期をすぎ、低経済成長時代、第三次産業化で、職は流動化して、作業化している。

日本人のやりがいはどこに行くのか。安倍内閣働き方改革は、日本人の職分を救うことができるのか。ボクは日本人の世のために役割を全うするという勤勉さを信じている。楽観的だ。それは第三次産業化で職が流動化してもだ。そこにある日本人の勤勉エネルギーはどこに向かおうとしているのか。

さてユーチューブをみよう。

平成28年9月27日 働き方改革実現会議  安倍総理


働き方改革』のポイントは、働く方に、より良い将来の展望を持っていただくことであります。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにしなければなりません。中間層が厚みを増し、より多く消費をし、より多くの方が家族を持てるようにしなければなりません。そうなれば、日本の出生率は改善していくわけであります。
1番目に、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善。
2番目に、賃金引き上げと労働生産性の向上。
3番目に、時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正。
4番目に、雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題。
5番目に、テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方。
6番目に、働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備。
7番目に、高齢者の就業促進。
8番目に、病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立。
9番目に、外国人材の受入れの問題。