なぜリベラルは日本から排除されたのか  保守とリベラル1

大リベラル、右派保守ネオリベラル、左派小リベラル


まず自由の思想には3種類ある。一つ目、フランス革命のときの自由思想。貴族制に対して市民の自由が求められた。これを大リベラルと呼ぼう。
次が、自由主義経済。イギリスのアダムスミスを祖とすると言われる。自由競争により豊かになると考える。経済的自由。この経済的な自由は、最近ではネオリベラルと呼ばれたりする。現在保守の一部と考えられている。アメリカで言うと、保守の共和党右派保守ネオリベラル。

ここでわかりにくいのが、第三のリベラル。いま、立憲民主党が呼ばれているリベラル。これは、アメリカでは民主党。経済的な自由の共和党と対立する。経済的な自由を抑えて、税金を増やして、社会保障を充実させる。そこにあるのは、普遍的な個人の人権の尊重。フランス革命のときの自由に近い。これを左派小リベラルも呼ぼう。大リベラル、右派保守ネオリベラル、左派リベラル。現代は、右派保守と左派リベラルの対立の構図で説明される。

日本では、右派保守ネオリベラルが自民党、左派リベラルが民進党の構図だった。実は前原は民進党にいながら、右派保守よりだった。でも民進党は左派リベラルに見られて、その意見が重視される。かといって、今さら自民党とは組めない。ブチ切れて今回、民進党を壊して、新たな右派保守ネオリベラルの希望の党に合流した。排除された左派リベラルが立憲民主党を作った。
前原の確信的クーデター。基本的に、自民党希望の党の政策は変わらない。ただ小池百合子自民党内では、小泉系で派閥的に弱くて首相になれないから、新しい党を作って党首になって、将来首相を狙う。




日本人総利権社会


では自民党はそんなに右派保守ネオリベラルか、アメリカの右派保守ネオリベラルの共和党とは違って、むしろ共和党に近かったりする。ここが日本の保守の難しいところ、さらに、そもそもが、戦前の国家社会主義右翼を継承して、戦後に自民党が作られた。その親玉の一人が安倍首相のおじいさんの岸信介なわけだけど。

伝統を重んじるという意味で右派。共産主義左翼に対しては経済的自由を重視してきたが、その裏でずっと国家社会主義を残してきた。官僚と政治家と国民の三つ巴の密接な利権関係。自民党は癒着構造として古い体質と言われるが、そこには大衆も噛んでいる。護送船団方式、終身雇用、年功序列などの国家社会主義的な体制が高度成長期を推進した。

いまも今回、左派リベラルが排除したように、日本人大衆はみんな右派保守が継続することで、暗黙の利権にありつけることを知っている。だから今回も右派保守、すなわち自民党希望の党は大勝する、実は首相が安倍になろうが、百合子になろうが、石破になろうが、大した問題じゃない。すでに今回小うるさい左派リベラルの立憲民主党が排除された時点で、日本人の審判は終わっている。

日本の右派保守ネオリベラルの強さは、経済的自由競争を進めながら、裏で政治家、官僚、国民の利権関係がしっかりできている国家社会主義が維持されていることにある。可哀想なのが、小泉政権時代に、本気で経済的自由競争が目指されて生まれた非正規世代だ。いまの新卒は、しっかり右派保守の利権に食い込むように正社員利権を目指し、安倍政権を支持している。日本ではとにかく正社員になれば利権にありつけるようになっている。

55年体制後、自民党が下野したのは二度。日本新党の細川内閣。これの仕掛け人は元自民党の小沢。右派保守内のいざこざで、左派リベラルと言えない。あとは民主党。これは確かに左派リベラルと言えるが、マスコミ左翼に乗せられて、埋蔵金が埋まっていると騙されて大衆はひどい目にあった。そこからいまの安倍政権、そして今回もすでに決まった右派保守の圧勝と、左派リベラルの排除が繋がっている。日本は、政治家と、官僚、大衆特に正社員の利権国家だから、右派保守は強い。




日本の単位は個人ではなくイエ


戦前に、国家社会主義で作られた体制は、大企業が中小企業を支える仕組みだ。さらに日本には古くからのイエ制度がある。政治家、官僚が大企業を指導することで、子会社、下請けが繋がっている。そして彼ら正社員には家族がいる。非正規と言われる若者やパートのおばさんは、単独で生活を支えているわけではない。イエの正社員にひも付いている。ある意味で、非正規を楽しんでいられる。彼は保守派の利権の一部だ。そのように考えると、保守派の利権から外れている人々は一握りとなる。そが総利権国家日本だ。

左派リベラルの間違いのすべては、西洋的に自由平等を個人単位でしか考えられないからだ。日本はいまもイエを中心に運営されている、オレオレ詐欺が成立する世界で得意な国だ。安倍政権が支持される理由は、西洋個人主義ではなく、イエ制度を考慮していること。家族で一人正社員がいれば、家族が潤う。その正社員の雇用という利権をなんとしても守ってあげる。それが安倍政権の真髄だ。働き方改革はネタではない。日本経済の確信に関わる。




戦前の国家社会主義から連続性


忘れられているが明治維新後の日本は、いまよりも自由競争が激しかった。それは、近代初期にどの国にも見られた傾向だが、むき出しの自由競争で、資本家と労働者の格差が広がり、労働者は劣悪な条件で働かされていた。西洋ではその反動で社会主義運動が活発になり、ここにマルクスなど共産主義者の革命の意義があった。しかし日本では、社会主義は徹底的に弾圧されて壊滅状態だった。そこで国家社会主義を目指したクーデターを起こしたのが青年将校たち右翼だ。226事件に代表的なように。

クーデター自体は失敗したが、それ以降、日本は軍部主導の国家社会主義化する。この時の革新官僚岸信介もいた。この国家社会主義体制は、戦後の55年体制に引き継がれていく。国家社会主義化は、官僚と政治家の陰謀論でなく、むき出しの自由競争を回避する、大衆を含めた利権体制と言える。そしていまも基本は変わっていないし、小泉政権民主党政権での改革の失敗を経て、安倍政権で再び回帰して、国民の支持を得て長期政権となった。

ではいまの安倍叩きはその反動か?全く逆だ。国家社会主義を延滞するために、安倍から小池など頭をすげかえるだけのことで、総国民の利権へと執着はむしろ増している。それがあからさまな左派リベラル排除だ。

日本は国家社会主義体制で、むき出しの自由競争から国民を守っている。グローバリズムのむき出しの自由競争に巻き込まれないように、国家は大企業を守り、大企業は下請けを守り、正社員は終身雇用、年功序列的な体制を維持している。国民は国家のために、せっせと銀行貯金する。国家は貯蓄をベースに国債を発行して、国内で還流する。格差が広がらず、失業率は低く、貿易黒字を維持する利権国家日本。左派リベラルに投票する馬鹿は、暇すぎるプロ市民だけだ。




日本の左派リベラルの最大勢力はマスコミ


そもそも左派リベラルなんて、支持しない。左派リベラルの最大勢力はマスコミだ。なぜがマスコミは左派リベラルが大好きで、偏向報道で右派保守の切り崩しにかかる。それに騙されるのがワイドショー好きのおばちゃんと、暇な学生。なぜマスコミは左派リベラルへ偏向するのか。一番は、55年体制後の自民党が強すぎるために、権力監視として、自らの立ち位置を見出したんだろう。

特に戦後に、GHQはます右翼の解体に取り組んだ。戦争犯罪者の逮捕から、地主、財閥の解体、そして労働組合の推進。しかしそれによって、共産主義革命が起きそうになる。朝鮮戦争など、共産主義との対立が深まる中で、慌てて、GHQはは右戻りに舵を切る。こうして戦前の国家社会主義的な面が戦後も残ることになる。

それでも、戦争の反動として、全共闘安保闘争など左翼活動は盛り上がりを見せる。この流れをいまも維持しているのがマスコミだろう。その当時の左翼がマスコミに就職しただけではないだろうが、いまもそのときの思いを持ってマスコミ報道の重鎮として、生き続けている。自民党1強が続く中で、それを監視する使命として継承されてきたんだろう。今では、時代遅れの化石になりつつある。




いまリベラルが語るべきは移民問題


難しい問題は一つだけある。日本が快適すぎて、自分の趣味に埋没して、少子化、高齢化している。これはどうしようもない。移民を受け入れるしか、日本を維持する方法はないが、移民を受け入れたら国民の利権はどうなるか。日本人のみに利権があれば、移民は暴動を起こすだろう。そろそろ日本の総利権国家も限界に来ているのは確かだ。

しかし右派保守のもちろん、左派リベラルでさえ、移民について語らない。ここが日本の左派リベラルのどうしようもないところだ。今こそ、保守に勝つ絶好のチャンスが来ているのに。アホみたいに、安倍ネガティブキャンペーンしかできない。

実際、ボクも前原クーデター前は、蓮舫の攻勢といい、二大政党として左派リベラルが浮上するんじゃないかと、騙されかけた。それが前原クーデターで、左派リベラルはマスコミの偏向報道で持ち上げられただけで、誰も支持していない日本人のお荷物だと明らかになった。前原クーデター後の、左派リベラルの排除すげぇな。