ウェブのアテンション・エコノミーの行方 フリーモデルから課金モデルへ

pikarrr2010-01-22

アテンション(注意)が貴重


1)映画DVDをレンタルして見る寂しさというものはないだろうか。テレビなら同じ時間にみんな見ている。またレンタルでも最新の人気DVDならばみんながこれを見たがっている。しかし「流行を過ぎたこの映画を見ているのはいま自分だけである」・・・という寂しさ、感じたことないだろうか。

2)一時期P2Pによるソフト交換にはまっていた。今考えると不思議なことにP2Pもコミュニケーションだった。そのソフトがほしいのではなく、交換することそのものが楽しかったのだ。だから交換したほとんどのソフトは使わなかった。

3)P2Pで手に入れたソフトは「軽い」のだ。ほんとにそのソフトを楽しみたいならレンタルするなり、買うなりしてゆっくり楽しむ。それらは金を払った分、「重い」のだ。金を払ったことによって「元を取らなければ」というアテンション(注意)が働く。

4)レンタルDVDの例にしてもP2Pの例にしても、情報過多の時代には重要であるのは情報ソフトではなく、その情報へアテンション(注意力)である。ボクたちのアテンションは時間的にも、集中力的にも限りがある。情報過多の時代ではまさにこのアテンションが貴重であり、そこにエコノミーは働くのである。




アテンションのインフレーションを回避する方法


5)情報社会ではこれをみなければ!あれをみなければと!と強迫されつづけるために、アテンションがインフレーションして集中して楽しめなくなってしまう。ゲームでいえば作業ゲー化してします。だからいかに情報を縮減し、限られた時間で集中力を保ち楽しむかが重要なのだ。

6)先の例からも、アテンションを保つための基本は他者とお金である。他者と同期することによってアテンションが維持される。たとえばツイッターがリアルタイムで同期されているのはいまここに他者がいるということだ。あるいは時間同期でなくても流行ものではみんなが興味を持っていると同期している。オタクは興味をニッチに絞り込むことで他者と同期しアテンションを高めている。

7)さらにはお金をかけることでアテンションは高まる。お金は稀少であることを指し示す。お金をかけたのだから、高価であるから稀少性であり、アテンションが高まる。たとえばブランド品は高価であることそのものがアテンションを高めて、自信へと繋がっている。これらは情報過多、価値多様時代に効率的に楽しむため方法であり、また生き抜く方法であると言える。




グーグルブランドがウェブの特別性を支える


8)ウェブ上でフリー(ただ)が基本になっているのは必ずしも「得をする」という経済的な理由ではない。フリーといっても大した額ではない。それよりもフリーによってウェブ上の社会は実社会とは違うということが強調されている。すなわちフリーをウェブ上のみんなと共有(同期)していることでアテンションが高められているのだ。

9)だからグーグルはフリーだから望まれている以上に、グーグルというブランドへの興味(フェティシズム)がアテンションを高めている。すなわちGoogle「実社会ではないウェブ上の社会」の象徴なのである。




ウェブ上の課金はアテンションを高める


10)しかし最近ケータイの普及などでウェブが生活に浸透することで、このようなウェブ上の社会の特別性は薄れ、アテンションが高める効果がなくなりつつある。そして今後ウェブ上で課金システムが広がる可能性は高いのではないだろうか。

11)音楽、本、映画などは安いものでフリーによって小銭をけちるよりも、真に気に入ったものは課金によってアテンションを高める可能性は十分ある。課金ですでに成功しているのがiPodである。iPodで音楽を買うのはiTunesからiPodという一連のサービスが一つの「生活スタイル」にまで高められてアテンションを上げているからだ。

12)さらにiPodで重要であるのが携帯端末であり音楽配信のようなサービス専用性と持っていることだこのような「かかえ込まれたサービス」はウェブ上の課金を成立するための安全(信用)を生んでいる。世界でもっともウェブコンテンツ課金を成功させているのが日本のケータイであることも同様な理由だろう。




グーグルはローカルな信頼を構築できるか


13)そしてウェブ上の課金が普及することが逆にウェブへの信頼を高めるだろう。グーグルの「人を介さない」という「フラット化な信頼」ではない生活に密着したローカルな信頼を高める。

14)グーグルのスマートフォン用OS、Androidが話題である。またグーグル自身がスマートフォンを提供しだしている。しかし今後フリーで誰でも持てるようになってしまうとアテンションは保つことは難しくなる。さらにグーグルは個別ユーザーと向き合うローカルで安心なサービスをこつこつ提供し続けることができるのだろうか。

15)ここには「グーグルはローカルな信頼を構築できるか」という本質的な問題があるだろう。すでにストリートビューのプライバシー問題やブックの著作権問題、さらには注目されているクラウドコンピューティングでもローカルな信頼がキーワードになる。中国問題も関係ないとは言えないだろう。




課金の普及はソーシャルなエコノミーを生み出すか


14)課金が普及することでウェブは新たな「ソーシャル」な段階へ入る期待がある。いままではウェブ上の素人によるすばらしいコンテンツへの配分はアクセスやコメントなどの関心を寄せるだけだった。そこに人々が課金による配分をすることで、制作者の生活が支えられよりさらに創造へのインセンティブが高まるという健全なエコノミーがうまれる。

15)一人はわずかな課金でもウェブのもつロングテール効果によって多くの人を課金すればまとまった金額になる。クリエーターから、寄付から、物乞いまで新たなエコノミーがうまれる可能性がある。これらのソーシャルな交換にはアテンション(注意)を高めることがある。



既存メディアの巻き返しはどこまで成功するか? http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100115/212141/


今年の米国の新聞雑誌産業は、ネット上での課金をいよいよ実行に移し、キンドルをはじめとする電子ブックリーダー上での課金及び広告料金の設定にも取り組む年になる。アップルが発表するタブレット型コンピューターに対する期待も高まっている。・・・既存メディアがデジタルの経済圏でいかにビジネスモデルを築くか、まさに正念場に来たといえる。

米アップル、タブレットでコンテンツ販売に新風 http://jp.wsj.com/US/Economy/node_24611


iPodアイポッド)」で音楽業界を変えたように、米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は、来週の発表がうわさされるタブレット型端末によって教科書、新聞、テレビなどのコンテンツ販売方法を変え、同社がコンテンツの仲介業者として影響力や収入を拡大することができると考えている。

Googleブランド通じず? -Nexus One発売1週間でわずか2万台 http://journal.mycom.co.jp/news/2010/01/14/010/index.html


1月5日(米国時間)に発売されたGoogleブランドのスマートフォンNexus Oneの発売1週間の販売台数を20,000台と予測している。これは昨年米国で発売されたiPhone 3GS「myTouch 3G (Android)」「DROID (同)」に遠く及ばない数字で、Googleから直販という独特な販売方法の苦戦が伝わってくる。

ストリートビュー一時中止要求 県弁護士会、グーグルに意見書 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news/20100120-OYT8T00048.htm


インターネット上で街並みの画像を閲覧できるグーグルのストリートビュー(SV)」について、県弁護士会は19日、プライバシー侵害の恐れがあるとしてサービスの改善と一時中止を求める意見書を、インターネット検索大手「グーグル日本法人」に送付したと発表した。同会によると、意見書を提出したのは全国の弁護士会で初めて。

フランス政府が“Google税”提案 税収でコンテンツ業界を支援 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1001/08/news062.html


フランス政府は、Googleなどの検索企業のネット広告収入に課税し、その税収をデジタル革命の打撃を受けているコンテンツ業界の支援に使おうと考えている。・・・「これら検索企業はフランスの広告市場で大きなシェアを占めていても、本社のある国で税金を支払っている(サルコジ大統領)」

Google、中国からの大型サイバー攻撃に中国市場撤退も http://jp.techcrunch.com/archives/20100112google-china-attacks/


Googleは、先月同社の社内インフラに対して行われた「きわめて高度かつ標的を定めた攻撃」に関する情報を公開した 。攻撃は中国が発生源であり、その結果Googleの知的財産の窃盗」が行われたという。Googleはこの攻撃を踏まえ、同社の中国事業に抜本的変更を行おうとしている。

中国に対するあたらしい姿勢 http://anond.hatelabo.jp/20100113122352
執筆者:David Drummond(SVP,Corporate Development・Chief Legal Officer)


12月中旬,中国から我々のインフラを標的にした非常に洗練された攻撃を検知し,結果としてGoogleの知的財産を奪われました。当初,非常に高度とはいえ単なるセキュリティ上の問題に見えたのですが,すぐにまったく異なる事件だと明らかになりました。

・・・私たちがこの攻撃についての情報を,この異例な方法で多くのみなさんに公開することにしたのは,私たちが掘り出した問題がセキュリティと人権に与える影響のためばかりではなく,この情報がさらに大きな言論の自由についてのグローバルな議論の核心をついているからです。

・・・この攻撃と明らかになった監視—さらに昨年を通じてのWeb上の言論の自由をより制限しようとする計画も含めて—によって,私たちは中国における私たちの業務の実行可能性について再検討すべきだとの結論に達しました。今後Google.cnの検索結果に対する検閲を継続しないと決断し,これから数週間をかけて,法の範囲内でフィルターなしの検索エンジンの運営が可能かという点について中国政府と話しあいます。私たちはこの決断によってGoogle.cn,もしかすると中国オフィスも閉鎖しなくてはならなくなる可能性が十分にあることを理解しています。

ニートがネットで物乞いしAmazonから大量の商品が届く! http://news.livedoor.com/article/detail/4552849/


日本一のニートを目指す男性が自身のブログにてアマゾンの欲しい物リストを公開したところ、大量の商品が届けられたとして話題になっている。


*1