2006-01-01から1年間の記事一覧

「痕跡」の道具性の強度

[議論]痕跡とプログラムと欲望 http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20061227につづいて、以下のid:voleurknknさんのブログ記事への感想です。 「デリダとスティグレール」 http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20061229 「痕跡とプログラム」 http://d.hatena.ne.j…

痕跡とプログラムと欲望

「フーコーの権力論とグレイゾーン化」 http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20060920のコメント欄からの転用です。参照として、id:voleurknknさんのブログの以下の記事とコメント欄に連動しています。 「痕跡とプログラム」 http://d.hatena.ne.jp/voleurknkn/20…

なぜ進化論はポスト構造主義的なのか

考える名無しさん ポストモダニズムに歴史的視点があるかどうかか。無いね。だから、進化論・ヘーゲル弁証法を否定し、通時性から共時性の肯定になった。つまり、色んな分野でも言われているように、歴史の終焉だ。ここが、ポスト構造主義の共通点だ。 歴史…

モバゲータウンはなぜ薄気味悪いのか

いじめ対策としての異なるチャンネルの確保 いじめが問題になっているが、いかにいじめをなくすか、という論点は不毛なように思う。暴力などの犯罪行為ならいざしらず、無視、陰口などの集団的ないじめは、人間のコミュニティにおいて必然ではないだろうか。…

なぜ「歴史」は科学的に記述されないのか

科学的帰納法という寛容 科学は帰納法であると言われる。帰納法とは「観察や実験を繰り返し行い、観察事実(データ)を蓄積し、たくさんの観察事実(データ)に基づいて、理論を構築する」ということ。ここで問題は、繰り返しということ。たとえば物体Aと物…

「なぜ若手が会社を辞めるのか?」

「成果主義と年功序列の“ねじれ”」 「なぜ若手が会社を辞めるのか?」が語られています。そしてその理由として、「成果主義と年功序列の“ねじれ”」が上げられています。 近年、日本では年功序列制度が崩壊したと言われていますが、厳密に言うとそれは必ずし…

なぜネットはこれほど短期間で増殖しえたのか

現実界の二通りの意味 エディソンのフォノグラフ(蓄音機)がその溝に刻んでいたのはこの振動数以外のものではなかった。それにたいして音階や和音は、比率、つまり整数にたいする分数のことをいう。・・・十九世紀になってはじめて登場してきた周波数という…

なぜ少女はネットで裸をさらすのか

女神のような街燈の光にさそわれながら 夜の小鳥たちはガードレールの上で翼を休めている はるか彼方で声がする誰を呼んでいるのか 朝が来るまで 君をさがしている 陽の光をさけながら栄えているこの街角で 夜の天使たちがスターダムにのし上がる 一歩踏み出…

なぜ「かわいい」が氾濫するのか

「東京カワイイウォーズ」 大人気のカリスマモデル“エビちゃん”。販売絶好調のファッションビル“渋谷109”。2万人近い女の子が熱狂するファッションショー“東京ガールズコレクション”…。いまファッション界で人気を集めるものに共通するのは女の子たちの「か…

なぜ人々はディテールにこだわるのか。 映画「間宮兄弟」

ドラマ「結婚できない男」のおもしろさ ドラマ「結婚できない男」(ASIN:B000ILZ3WG)は前評判もたいして高くないのに、高視聴率をとり、評判になりました。阿部寛演じる40代の独身建築家は、自らの小さな設計事務所で自分が納得するこだわった仕事をしてい…

なぜドラマ「14才の母」はうすら寒いのか  死と情動とリアリティ  

恋愛ドラマのリアリティ ドラマは基本的に障害がありそれを乗り越えることが描かれる。特徴的なのが恋愛ドラマだ。男女が障害を乗り越え結ばれることを基本にする。問題は障害をどのような設定にするか。このような障害設定は時代背景を反映する。たとえば「…

なぜ合理化はジレンマを生むのか 合理化される身体と場への帰属を求める心

合理化による「客体化」 たとえば電車にのって移動するとき、身体は狭い空間に詰め込まれて、高速で長距離はこばれる。ここでは身体は客体化されている。車による移動の場合、車を運転するという主体的であるが、目的地が決まれば、運転者であるか、ないかに…

なぜ仕事はおもしろいのか その3

プロフェッショナルへのあこがれと違和感 「なぜ仕事はおもしろいのか その2」http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20061112のようにレスをいただき気が付いたのは、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見て感じたブレンダーの方への入り交じった複雑な…

なぜ仕事はおもしろいのか その2

id:fuku33 はじめまして。いつも興味深く拝読させていただいているものです。(エントリー「なぜ仕事はおもしろいのか」 http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20061110において)「労働機械」と「精密機械」として表現を対比させるのも面白いと思うのですが、前者…

なぜ仕事はおもしろいのか

「プロフェッショナル 仕事の流儀」 NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」(http://www.nhk.or.jp/professional/index3.html)で、サントリーのウイスキーブレンダーの話を見ましたが、すごかったですね。0.1%のブレンドの味を見分けて、商品を作り込…

なぜお金にはリアリティがあるのだろうか

"How much?"ほど的確なコミュニケーションはあるだろうか たとえばあるカバンがあり、そこには製造面、デザイナーの思い入れ、カバンマニアによる解説などなど様々な価値観があっても、「このカバンの価格は1万円」とお金により価値化されることで、様々な…

なぜGoogleはただ乗りなのか

「Web2.0」、「CGM」、「ロングテール」 ネット時代の新潮流――CGMとは http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0607/18/news024.html今、Web2.0のキーワードが注目を浴びています。その中に内包される概念としてCGM(ConsumerGeneratedMediaの略)が存在し…

なぜWeb2.0にとって信頼が重要なのか

数式→言語→シミュレーション 近代化におけるテクノロジーの方法論では、古典物理学で特徴的なように、現象を単純な法則に還元し、近似的な数式化することに基礎がある。しかし数式への還元が困難な曖昧なものは、言語によって表現することになる。言語におい…

人類はなぜのんびり生きることができないのだろうか

経済調整の難しさ 人が生存するために最小限必要なこと、衣食住のために行われる労働は、近年の効率化によってわずかな労力しか必要としなくなったし、わずかな労働であとはのんびり過ごすことはできないのだろうか。たしかにいまの科学技術なら、最小限必要…

なぜ映画はおもしろくないのか

映画は「重い」 たとえば映画において、興行収入ラングは大きな意味を持ちます。多くの人は映画を見るときに、興行収入、あるいはDVDランキングを重視しています。たとえば書籍の場合はどうでしょうか。人々が本を買うときに、売上げランキングをそれほど重…

なぜコミュニティは必要なのか その1

仕事のおもしろさと企業コミュニティ やはり仕事はおもしろいですね。仕事のおもしろさは強制力にあるのではないでしょうか。決して分かり合えない他者とのコミュニケーションにおいて、仕事という目的において働く強制力であり、分かりあったフリをしなけれ…

なぜ新書ブームなのか 認知限界社会

マスメディアの中で継続的に続く「大きな物語」 最近、コント番組というものがなくなりましたね。バラエティー番組というハプニングを売り物にする、ライブ感を大切にする番組花盛りです。それは、「あいのり」のようなライブバラエティーに繋がっています。…

ダリというフロイトとマルクスの交錯点

「私はダリでしょう?」 ダリ展(http://www.fujitv.co.jp/events/art-net/go/315.html)にいってきました。シュルレアリスムはフロイトから大きく影響を受けたと言われるように無意識的です。ダリの絵は一見、抽象的な絵なのですが、感性的というよりも思考…

マルクスの「労働価値」はなぜ消えたのか

「貨幣は貨幣であることで貨幣である」 岩井克人の「貨幣論」(ASIN:4480084118)では、マルクスの「資本論」(ASIN:4003412516)で展開された価値形態論が脱構築されている。マルクスの示した価値形態の図式を循環論Zへと展開することで、貨幣という形態には…

ラカンと認知科学

考える名無しさん ぶっちゃけ、ラカンなんて学んでも雑談以外にメリットはない。若いんなら、そんなもんに貴重な時間を使わないでほしい。認知科学分野からみたら、ただの与太話にすぎないんだから。 ぴかぁ〜◆q5y3ccmqnw 認知科学は、情報処理の観点から知…

なぜ「熱狂」は語れないのか

近代自然科学と経済 近代自然科学の特徴は、要素還元主義にある。(空間(時間)的、偶然性の排除、非擬人主義)ここには、自然の構造は簡単な形に定式化できる、という信念が隠されている。またヘブライズムからキリスト教における、主客分離(観察する主体…

近代科学を超えて 村上陽一郎

(ASIN:4061587641) はじめに 科学のなかである種の「発展」が起るとき、その「発展」に対して必ずしも「データ」が中心的な役割を果たしていないように思われる事例が多い・・・科学もまた全時間・空間を縦貫し横断して成立するような「離陸」した存在ではな…

フーコーの権力論とグレイゾーン化

歴史家としてのフーコー 精神分析へのフーコーの批判がある。フーコーは精神分析的な人間構造の絶対化に対して、歴史相対化する。たとえばエティプスコンプレックスは人間そのものに根源的なものでなく、近代的な家庭主義であると。(ラカンなどの精神分析に…

なぜグレイゾーン化は熱狂を生むのか

グレイゾーン化と予測可能性の向上 技術(テクネー)とは利便性を目指すのでなく、「自然」の開拓であり、開拓される「自然」=無垢の制作=グレイゾーン化である。グレイゾーン化とは、世界の不確実性を予測可能性へ転換すること、リスク管理することである…

「象徴的貧困」というポピュリズムの土壌 ベルナール・スティグレール

http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/stiegler.html 1)一九世紀の産業革命を経験した資本主義の二つの大きな帰結 ①「生産における貧困」プロレタリアの登場(プロレタリア化(マルクス))。生産にかかわる知が機械に移行して、もはや自分の「作る知」によ…