「お勉強」「組織と人数」の絶対法則― トレイシー・カミレッリ他 ISBN:4492800980

私的な社会的ネットワークにおいては、ダンパー数は人が相手に対して義務感を覚える最大の人数と定義される。この人数は、ある程度規則正しい頻度で会う人(たとえば、少なくとも年に1回)で、知り合ってから長い人の数と言うことになる。もし助力を乞われたら、見返りがないとわかっていても願いを聞き入れる相手の数だ。この150人より疎遠な関係の人に対しては、私たちは利他的行動を取るのにより慎重になる。遅かれ早かれ(できれば早めの)見返りを期待するようになる。それは、はじめから決まっている約束事であることが多い。あとで金を払うか恩返しをするのであれば、私もあなたを助けるということだ。150人の境界線の外では、相互関係は一種の取引のようじなる。P42-43

 

ダンパー数は突然この世に降って湧いたわけではない。サルと類人猿における典型的な集団規模と脳の大きさの数式によって、このような上限の存在はヒトの脳の大きさから予測されていた。
この脳の大きさと集団の規模との関係は社会脳仮説として知られる。サルと類人猿は、相互の絆(各個体は好みの相手と私的な友情を育む)にもとづいて結束し、安定した大きな社会集団を形成して暮らす点において、他のすべての鳥類や哺乳類と異なる。
このような関係は高度な心的能力を要し、この能力のおかげで他の個体がどのような行動を取るか、どのように他の個体と交流すべきかを判断できる。このスキルは相当な計算能力、つまり大きな脳を必要とする。P41-42

 

150人の上限が重要であるのは、コミュニティの規模がこれを超えない限りにおいて、大多数の問題は民主的な直接交渉で簡単に解決できるからだ。だが、この上限を超えると「スケーラー・ストレス」が生じて、集団がどんどん不安定になる。交渉が難しくなり、コミュニティ内の情報の流れが滞り、物事が思い通りに進まない。相互の連絡不可能なサイロ(派閥や縄張り意識)が生まれ、人々は疑心暗鬼になって相手を信用しなくなる。こうなると、何らかのより正式な管理システムによって社会関係と業務を管理するしかない。
・・・民主的なコミュニティを150人に維持すれば、法律、規則、階層、警察などが不在でも、対面の対話によって商売上の取決めや社会問題に対処できると確信しているのだ。誰もが全員知っているので、みなコミュニティ全体に対する義務感を負っている。P45-46