なぜ日本人のスノビズムはマクドナルド化を強化するのか

pikarrr2010-07-08

日本人のスノビズム


手段は目的のためにある。しかし手段そのものを目的として一つの様式とするのがスノビズムである。そもそも日本人はスノビズム性が高いようだ。たとえば古くは武士道、茶道など。現代でも日本では「手段の目的化」が日常的に行われている。

たとえば日本人の雑学好き。知識とは目的のために体系化され、目的のための手段として学ぶ。しかし雑学は体系化されずただ散らばった知であり何に役立つものではない。西洋人からすると日本人の雑学好きの意味がわらないだけでなく、オタクでカッコ悪いものにうつる。

アメリカ人もくだらないこと好きだか、いつもどこかジョークであることを担保している。日本人はマジである。日本では雑学は一つの文化になっている。特徴的なのがクイズである。高校、大学にはクイズクラブがあり、日夜雑学を磨き続け、テレビ番組になるなどいくつも全国大会がある。

またスノビズムとは大局に関係しない細部にこだわることでもある。差異をより細部へとマニアックに追求する。だからフェテイシズムと深く関係する。このように特性はもはや総オタク時代とも言われる現代日本人の特徴を表しているだろう。




日本のハイウェイ社会とスノビズム


日本人がなぜスノビズムへ向かうのかは、ハイコンテクストな社会にあるだろう。同期しやすい彼らは誰かが何かをはじめると、隣の誰かもはじめる。するとそとに競争が生まれる。他者よりも少しでも先へと「差異化の運動」が生まれる。やがて広がり反復されることで様式化され、文化へと成熟していく。

この日本人の同期しやすさを以前「ハイウェイ」に例えた。多文化でローコンテクストな社会では、まず同期してもらうのに苦労する。しかし日本では同期は一つの基礎地盤であり比較的少ない労力で行われる。むしろ同期が基礎であるためにそれだけでは物足りない。ハイウェイでは誰もがどこに向かうのではなく、ちんたら走るのが退屈でとばして競争してみたくなるものだろう。そして走るという手段が目的になる。

日本人はハイコンテクストな「ハイウェイ社会」を生きている。みなが単一の価値を共有し、その価値で円滑に進行できるように社会環境が整備されている。だから日本に住む限りハイウェイのように鼻歌まじりに生活できる。

海外では生活圏を抜けるととたんに多様な見知らぬ価値に出くわし、限界状況につまずいてしまう、いわば凸凹道である。だから回りに気を配り、鼻歌まじりに生活するわけにはいかない。


[まとめ]なぜ日本人は民主主義よりも資本主義に順応したのか http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20100625#p1



超ハイウェイ社会とマクドナルド化


さらに日本の「ハイウェイ」は近代化、特に資本主義経済においてよく機能した。日本人の差異化運動は西洋近代化の知識の吸収にどん欲に働き、瞬く間に日本を西洋に並び立つ近代国家へと成長させる原動力となった。現代では、ハイウェイは経済的な効率化、合理化によって強化され、日本は技術、情報、消費の発達において人類史にかつてないほど「超ハイウェイ社会」を実現している。

資本主義の経済的な合理化によるハイウェイの補強はマクドナルド化と呼ばれる。マクドナルド化により補強された超ハイウェイは「貨幣依存」を高めることになる。金によってハイウエィのランクがうまれている。このような傾向は特に日本で顕著であり、金があればなんでもできるが、金がなければなにもできない社会になりつつある。

ここに現代日本人のスノビズムマクドナルド化の協調しつつ、対立する関係があるだろう。

経済成熟期に発達する「儲ける」仕組みがマクドナルド型生権力である。たとえば旅客機のサービスによるクラス分け。エコノミークラス/ビジネスクラス/ファーストクラス。さらには外部までも取り込んで成熟社会を全面包囲している。

マクドナルド型生権力の見取り図

  • マクドナルド空間−内部
    • エコノミークラスマクドナルド空間)・・・低価格。安全、安心、安定。グローバルな公共空間。
    • ビジネスクラスマクドナルド空間の多様化)・・・エンターテイメントの付加価値。ショッピングモール、ディズニーランド。
    • ファーストクラスマクドナルド空間の臨界)・・・高価格。高度サービス。医療、介護、弁護士。
  • マクドナルド空間−外部
    • ハウスホールド(家庭生活)・・・核家族から個別化へ
    • アウトキャスト(取り残された外部)・・・失業者、低所得高齢者。
    • コンフューズ(混沌・創発領域)・・・秋葉原、ネット社会。


「なぜマクドナルド型生権力が社会を全包囲するのか マクドナルド型生権力の見取り図」  http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20090623#p1


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