日本は尖閣諸島問題で大人になれるか

pikarrr2010-09-24


温首相「主権や領土、妥協しない」 国連総会で演説 http://www.asahi.com/international/update/0924/TKY201009240096.html


中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は23日、国連総会で一般演説をし、国家主権や領土保全をめぐっては「屈服も妥協もしない」と表明した。尖閣諸島沖や南シナ海などで周辺国と緊張が高まる中、譲らない姿勢を国際社会に宣言した形だ。

温首相は「真の中国を知るということ」と題して演説し、経済発展を通じて平和に貢献する姿勢を強調。強国になるとともに覇権を目指す道筋は「決してたどらない」と中国脅威論の一掃に努めた。その一方で「友好を重んじるとともに原則にもこだわる」とし、台湾やチベット、最近では南シナ海なども示唆する「核心的利益」「断固として守る」と強調した。




日本、中国、米国 オディプスの三角形


尖閣諸島の問題は日本の取ってターニングポイントなる気がする。わかりやすい形で、日本、中国、米国の三角形が浮き出た。そしてこれは米国の子供であった日本を自立させる「去勢」かもしれない。単に右派の軍備増強ではなく、大人として今後の日本の姿勢を表す機会だ。

最近日本にここまで政治的な判断を求める場面があっただろうか。韓国とのいざこざは体制に影響はない。アメリカとの関係はアメリカ次第。しかし今回の中国との交渉は、経済を含めて体制に大きな影響を与え、落としどころには政治的手腕が求められる。ひさしぶりに政治家の活躍の場である。

日本にはしばらく政治が不在だった。経済問題が主で、政治問題は米国にあわせるだけだ。ひさしぶりに日本の政治力が試される場面がきた。そしてこれからも中国は政治交渉を求めてくるだろう。国家は政治的に追い込まれることで存在を表し、自立する。そして政治力が育つ。これは軍事力だけの話ではない。

今回のことは経済的に中国が追い込まれてるからだとは思わない。そうならやり方は他にいくらでもある。今回のことは国家とはそういうものだ、ということを日本に思い出させてくれる。特に大国になれば、力の誇示や、譲歩してはいけないライン、引けないラインへの固執がある。アメリカだってそうだ。




ガラパゴス化、脱自民、脱アメリ


日本に政治力が育たなかったのは米国の下で求められなかったから。日本は経済でグローバル化した。しかしいまの日本の閉塞は政治力がないこと。ガラパゴス化して海外と渡り歩く力、気力がない。経済では密接な中国だか、今回の中国は政治的な黒船といえるかもしれない。

日本は経済力があるのに政治力がなさすぎる。アメリカの子供、日本。どの国も結局日本をそのようにしかみなかった。しかし今回の中国は日本を大人として扱い政治的判断を求めている。米国の対抗できる中国だからできることか。これをきっかけに男にならねば日本は。

民主党にとってもチャンスだ。自民党との差異としてアメリカからの自立を目指す上で、中国と渡り歩くことは、政治的に自立した国家をアピールする絶好のチャンスだ。さらに沖縄基地問題にも変化を与えられる。中国脅威論をたてに新たに軍事政策を考えることができる。はじめて名ばかり脱自民から抜け出せるチャンスだ。




と書いていたところで、あっけなく船長を釈放・・・逆のターニングポイントになったようだ。

【米WSジャーナル紙】“弱腰”日本のあまりにも早い“屈服”に非難集中、日本は完全に「敗者」となってしまった http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1285328808/l50


この一週間、中国と日本はおかしな「脅し合い」ゲームを繰り広げてきたが、ネット社会での辛らつな反応などから判断する限り、日本は完全に「敗者」となってしまったようだ。拘留していた中国の船長を釈放すると日本が発表するやいなや、弱腰だとして与党・民主党には統治能力がないとの非難の声が挙がった。

「この国には外交政策なるものがまるで存在しないし、その能力もない。アッサリと最後のカードを放棄するなんて日本の恥だ。中国に、いいように振り回されている」…ある者はTwitterでこう不満を漏らした。

また、別の者は、「中国なら“屈する”なんていう概念もないんじゃないの?」と言う。さらに、「民主党のせいで、民主主義や国の主権といった概念が失われようとしている。この統治能力のなさにはびっくりするしかない。前政権の自民党よりひどい」といった声も挙がった。

大阪検察局(原文ママ)の当局者は急遽開かれた記者会見で、「私たちはこれ以上、容疑者を
拘留して取調べを行うことは相当ではないと判断しました。そしてまた、日中関係の将来についても考慮しました」と語った。

この政府決定は、日中両国間の観光やビジネス上の関係ではプラスになるかもしれない。しかし、国民の審判が民主党菅直人首相の人気にどういうかたちで現れるかは現時点では分からない。そして今度は、中国・河北省で拘束されている4人の日本人(フジタの社員)の処遇に注目が集まる。中国の軍用地で、許可無く軍事的目的でビデオ撮影をしていたとされる。もしも彼らがさらに長期間にわたって拘束され続けることにでもなれば、間違いなく今回以上にネット上で大騒ぎになるだろう。

船長釈放は「大人の対応」と片山総務相 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20100925-682881.html


片山善博総務相は25日、中国漁船衝突事件の中国人船長釈放について「日中両国が対立した状態を続けるのは良くないから、どこかで決着をつけなければならない。日本の方が大人の対応をした」と評価した。都内でテレビ番組に出演後、記者団に述べた。

片山氏は「広い意味で検察も政府の一員だから、(釈放は政治的な)判断があったのではないか」と指摘。日米外相会談で米国側が、尖閣諸島日米安保条約の適用対象との見解を示したことについては「外交上の成果」と強調した。

「船長釈放は屈辱的退却」米紙が酷評 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100925-OYT1T00351.htm


ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は24日、沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内での中国漁船衝突事件で、日本政府が逮捕した中国人船長を釈放したことについて、日本の「屈辱的退却」と伝えた。

記事は、「2週間前に始まった日本と中国の外交対決は、太平洋の関係を試す試金石での屈辱的退却に見える日本の譲歩で終わった」としたうえで、「この譲歩は、最近のアジアにおける力の均衡の変化を指し示した」と分析した。

またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「中国は、船長が起訴もされずに釈放されたことを、外交的勝利と位置づけている」とし、「中国がアジアにおける他の領土紛争で、大胆さを増す危険を引き起こした」と日本政府の決定による地域への悪影響に懸念を示した。