社会関係力学概論 サマリー 1.はじめに

pikarrr2011-10-08

人間関係に働く5つの力


人間が集まり社会を形成するということはそこに秩序が生まれていると言うことだ。では秩序の形成するために、人間関係に働く力はなんだろうか。以下の5つを上げたい。

・・・法という取り決めがありそれを守る。
経済・・・経済的に有利になることを求めて行為する。
信頼・・・信頼関係を維持するように振る舞う。
慣習・・・身につけた慣習に従う。
暴力・・・他者からの強制に従う。




法と経済の重視


たとえば会社で部下が上司の指示に従うのは、

・・・社員は契約関係にあり、従わなければ契約不履行になる
経済・・・上司に認められることによって賃金が上がる
信頼・・・上司を信頼して従う
慣習・・・組織では部下が上司に従うことは考える以前に当然である
暴力・・・従わなければ制裁を受ける

現代は法治国家市場経済であり、機会平等な自由競争を重視する。このために個人の自由と平等が重視され、自由を奪う暴力は排除される。

それとともに慣習や信頼も抑制される。日本では感じにくいが、慣習は宗教、民族、地域によって多様である。だから慣習を重視することは多数派に従うような暴力につながる。また信頼関係は、法や経済則にあわない特的の個人を優遇することに繋がる。




グローバル化する洗練された社会


たとえば親族や友人などの身近な関係では、暗黙に共有されている慣習や築きあげた信頼を重視することが求められ、法律、経済を重視する姿勢は冷たく、身近な関係を損なうもととされる。あるいは密接な文化地域や宗教団体では伝統化された慣習に従うことがもっとも重視される。

それでも社会関係においては法と経済が重視される。地域的な人間関係は決して排除されないが、それとともに世界で共通するマナーを備えた「リベラルな市民」であることが、洗練されたグローバル社会では求められる。




慣習や信頼関係の書き換え


このような社会では、地域的な慣習や信頼関係は排除されるとともに書き換えられる。学校教育ではリベラルな市民であるべく慣習が教育される。そこで重視されるのが、地域的な慣習よりも、法律と経済を重視した平等な自由競争という慣習である。

慣習という概念は広いものである。地域の歴史で継承されつづけ、その地域に生まれ落ちることで身につく。そして歴史的にみれば、現代の市場経済法治国家もまたひとつ環境であり、そこに慣習があるといえる。




5つの力の密接な関係


これら5つの力は決して分離されるものではなく、それぞれが関係しあい重複している。たとえばなぜ人々が法律に従うのかといえば、法律に従わなければ国家の暴力によって強制的に排除されるからからだ。また人々が当然のように経済活動を行うのは、法律によってルールが決められそこに国家権力の監視があるからであり、また慣習として経済活動のルールが人々に教育されているからだ。

次回からはそれぞれ5つの力について、語っていきたい。

目次案


1.はじめに
2.法
3.経済
4.信頼
5.慣習
6.暴力
7.西欧人と日本人
8.現代の社会関係


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