「歴史を知らずに哲学は語れない」推奨図書

歴史に関するおもしろい本はいくらでもあるし、またいかなる本も歴史を描いているといえる。ボクが読んでおもしろいと思ったおすすめ本を紹介する。


<日本>


日本の歴史シリーズ (講談社学術文庫) ISBN:4062919079
網野善彦監修の日本の歴史の最新シリーズ文庫本。いままで歴史シリーズで一般的な権力史だけでなくその時代の風俗が描かれてどれも読み応えあり。


日本倫理思想史1〜4 和辻哲郎 (岩波文庫) ISBN:4003811062
日本人には思想がないと言われる中で、通史として倫理思想を描いた野心作。主に武士の倫理の変化が丹念に描かれている。


日本仏教史 末木文美士 (新潮文庫) ISBN:4101489114
日本の仏教のわかりやすい通史。


日本の歴史をよみなおす (全) 網野善彦 (ちくま学芸文庫) ISBN:4480089292
日本人=農業中心という固定概念を覆し、島国という地形をもとに多様に生きてきた新たな日本人像が示される網野歴史学の代表作であり人気本。


沈黙の宗教――儒教 加地伸行 (ちくま学芸文庫) ISBN:4480093656
日本人もまた儒教の影響を受けていると言われるが、具体的には実感がない。孔子以前の宗教としての儒教を分析し、いかに日本人の中に浸透しているからを分析する。


禅学入門 鈴木大拙 (ちくま文庫) ISBN:4061596683
西洋人向けに書かれているために難解な禅学をわかりやすく解説されている。西洋人の日本人=禅的と言われる理由がわかる?ハイデガーも絶賛したと言われる鈴木禅学の入門書。


江戸時代とはなにか―日本史上の近世と近代 尾藤正英 (岩波現代文庫) ISBN:4006001584
日本人にとって職がいかに重要な役割をしてきたかを大胆な仮説で分析する。


「愛」と「性」の文化史 佐伯順子 (角川選書) ISBN:4047034312
性に関する分析が重要なのは、その文化がどの程度、西洋キリスト教の禁欲文化の影響を受けたかがわかるからだ。日本人はキリスト教の影響はクリスマスイベントぐらいと考えがちだが、近代化を通して根深く浸透している。それが江戸時代以前の日本人がいかに性に開放的であったかで知ることでわかる。


逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー) 渡辺京二 ISBN:4582765521
幕末から明治初期に来日した西洋人の証言を丹念に積み上げて、西洋化する前の逝きし日本文明を描き出す野心的な試み。しかしそこで浮かび上がるのはいまも懐かしく、共感できる原−日本人である。日本人とは何者か知るための現代日本人のバイブルとすべき本だと思う。


日本経済史 石井 寛治 ISBN:4130420399
日本の近代史は多くが戦争史として描かれるが、その底部で劇的に変化する経済史は欠かせない。明治以降の近代化によって日本の経済はいかに立ち上がったのかを分析する。


昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー) 半藤一利 ISBN:4582766714
戦争の時代である昭和史前半を、ドキュメンタリータッチで描いていく。登場人物がいきいきと浮かび上がる読みやすくおもしろい昭和史。




<世界>


世界の歴史シリーズ (中公文庫) ISBN:412205253X
いままでの世界史=西洋史に対して、中国、中東など非西洋圏に多くの巻がさかれている。また最新の調査結果もふんだんに盛り込まれている世界の歴史シリーズ最新文庫本。


世界史 上・下 (中公文庫) ウィリアム・H. マクニール ISBN:4122049660
世界史を世界全体の連動した動きとしてまとめ上げる。世界史が一つの潮流として見えてくる。西洋でも大ベストセラー本。


戦争の世界史―技術と軍隊と社会 ウィリアム・H. マクニール ISBN:4887082711
歴史とはなにかと一言で言うなら、歴史とは強い者が勝つ戦争の歴史である、と言えるだろう。戦争を中心に世界史を描き出すマクニールの名著。


世界文明における技術の千年史 アーノルド パーシー ISBN:4794805225
技術の変遷を世界史として描き出す数少ない本。多くの技術が中国から発生し、やがて西洋
の近代化へつながることがわかる。


キリスト教の歴史 (講談社学術文庫) 小田垣雅也 ISBN:4061591789
日本では案外ない、キリスト教の通史がをわかりやすく描かれている入門書。


イスラームから見た「世界史」 タミム・アンサーリー ISBN:431401086X
ギリシア・ローマ時代と近代の間の西洋中世暗黒の1千年。それはまさにイスラム圏の時代だった。失われたパズルのピースが埋まるように世界史の全体が見えてくる。いままでの世界史では西洋の影として描かれるイスラム圏だが、地中海圏と中華圏との間に位置する中心としてイスラム圏を描くことで世界史が見えてくる。


西洋哲学史 1〜3 バートランド・ラッセル ISBN:4622019019
ギリシア哲学からキリスト教、そして啓蒙主義へと西洋人がたどった精神の変遷が丁寧に描かれるラッセルの名著。


小説「聖書」 3部作 ウォルター・ワンゲリン ISBN:4198612277
聖書を物語として描く旧約聖書新約聖書使徒伝の3部作。古代西洋史において聖書は貴重な歴史資料でもある。またその内容はその時代を描いた物語として楽しく読むことができる。


物質文明・経済・資本主義15-18世紀 全6巻 フェルナン・ブローデル ISBN:462202053X
産業革命へ至る西洋の発展を、自給自足、交換という経済活動を中心に丹念に描いていくブローデルの代表作。産業革命など存在しない。テイクオフは革命などではなく緩やかで積み上げられた経済の活動だった。


戦後世界経済史―自由と平等の視点から (中公新書) 猪木 武徳 ISBN:4121020006
戦後を考えることはグローバルな経済の変遷が中心になるだろう。戦後経済史のわかりやすい新書。


第三の波 (中公文庫) アルビン・トフラー ISBN:4122009537
1980年に現在の、農業、工業に続く情報化が世界をいかに変えるかを分析し、いまもまだ新しいトフラーの名著。まだボクたちは第三の波の始まりにいる。