日本人企業の運命共同体と経済停滞

pikarrr2012-09-08

日本企業運命共同体と停滞


シャープが大変なことになっているが、これはシャープに限らない日本企業一般の現象だろう。日本企業は運命共同体的な面をもち、日本人の雇用を守ることを重視するために、設備投資を日本で行う。日本の高い人件費を賄うためには日本市場をターゲットに高付加価値を開発する。

内需が活況で毎年モデルチェンジする高付加価値品が高く売れる内には日本企業もうまくいっていたが、韓国、中国が台頭し日本製品の低価格品を作りはじめると、韓国中国との低価格競争に巻き込まれ、日本の内需型はうまく回らなくなる。日本人は日本製を買う傾向が強いとしても日本製品の低価格化、収益低下は免れない。収益が低下すれば賃金は下がり、雇用は減り、日本経済は負の連鎖に入る。

このために日本企業は工場の海外進出を進めて収益改善をはかっているが、日本企業の体質は日本人の共同体意識に根ざしておりそう簡単に変わらない。特にシャープの場合は液晶技術という限られた領域での成功であったために根の中小企業根性で長期的な視野によるグローバル経営戦略に乏しく調子に乗って国内投資しすぎたのだろう。




日本企業の停滞と政治混迷


このような傾向は日本人体質に根ざしている。だから経済だけの問題でなく政治問題でも現れる。たとえば日本企業の運命共同体的体質は終身雇用、年功序列という「社会保障」を生み出した。このために日本では国による社会保障、さらには各自の自助的な社会保障が発達せず、企業が支えてきた社会保障が解体する中で不安が広がっている。人々が貯蓄し消費が冷え込み経済が悪化する一要因なっている。

また企業による社会保障の解体による不安は、国家の社会保障に殺到し、民主党は不安心理を利用して出来もしない社会保障制度を餌に与党となった。国の借金は膨らみつづけ、根本的な経済対策は打たれないままだ。




貧困のグローバル化とまだ豊かな日本人


最近、サムスンなど韓国企業に日本企業が負けていることが話題だが、日本企業が絶えず世界トップであったわけではない。ずっと欧米企業を追い越せとやってきたわけだが、それでも世界ランクを気にせずとも内需により高い収益を上げることができていた。

ガラパゴス化の象徴であるケータイも、内需で儲かっていたのだから世界シェアなど気にする必要もなかった。むしろ世界シェアなど考えたほうが収益が悪化したかもしれない。ガラパゴス化こそが成功戦略だった。

しかし韓国、中国企業台頭により内需は停滞しグローバルに開かれた以上、外需、内需の区別がなくなりつつある。ここで問題になるのが日本人の雇用であるが、貧困さえグローバル化せざるをえないだろう。

確かに日本人の賃金は急激に下がり、雇用も不安定になっている。それでも日本人はまだまだ豊かである。その一つの要因が今までに蓄積された広い意味でのインフラがあるからだ。いまのところはこのような過去の蓄積をもとに生き延びることになる。その間に次の展開を考える。

韓国経済の好調は以前の日本もそうであったように高度成長期の為替や安い人件費など幸運によるところが大きいが、それとともにグローバル化の点では日本より進んでいる。もともと内需が小さい韓国はグローバル市場に活路を見いだした。アメリカとのFTAに象徴されるように、韓国では一流企業で働くことがグローバル化そのものである。最低限、日本人も韓国並みのグローバル化は求められるのだろう。