なぜネット上では競って「自分」が公開されるのか
性関係の公開
★週刊ポスト「大流行の『ブログ』で素人女性が『*****』を続々公開中！」という記事
ライブドアブログのアダルトカテゴリーhttp://blog.livedoor.com/category-99.htmlのブログを見ていると、頭が痛くなるようなものばかりですが、ブログのさきがけ「楽天広場」も、アクセスランキング上位に”エロ日記”がしばしば登場し、楽天のアクセス数増加につながったこともある。やはり、人間の原動力は性欲、なんでしょうか。id:tetsuto:20040912#p5
リンク先をたどってみたが、多くがエロサイトの番宣、やらせっぽかったが、「なぜ携帯電話カメラで性交は撮られるのか？（id:pikarrr:20040831）」で言及したように明らかにネット上には自分の性関連を公開している人々が増えている。しかしＨＰ，あるいはブログとはそもそも自己公開的である。自分の性関連は社会的にもっとも隠すべきものとされているために話題を呼んでいるだけで、自己公開という意味では、同じ志向であるといえる。
ここでも何度か言及しているが、フーコーは常時囚人を監視することが可能な監獄「パノプティコン」を象徴として、近代社会は「人間の主観的内面を形成していく権力」をもって大衆を管理しているといった。最終的には、権力の監視する目を自己の内面に形成し、自己反省によって権力に従順になる。 それが学校であったり、企業であったり、近代社会の権力の構造である。
「パノプティコン」のポイントを、自己の内面に必然的に形成される「予期の世界」*1で説明すると、自分は情報が限られた位置にいて、管理者がメタの位置に立たれているということである。そこでは、自己の内面に形成される「予期の世界」の多くを管理者にゆだねざるおえない。たとえばこのようなメタの関係は、これは親と子、上司と部下などの構造にみられる。しかしこれは、単に情報の欠如とうだけではなく、情報を持つもの＝予期を提示するものへの信仰的な心情が生まれる。従いたいわけでなくても、従ってしまうような状況が作られる。
ブログで自己を公開する人々は、フーコーのパノプティコンの対極にある。自分から自己を積極的に公開しようとしているという逆パノプティコン構造を作っているのである。このような状況を考えるときには、社会的なパノプティコン構造が希薄になっていることがある。親だろうか、学校の先生だろうが、上司だろうが、メタの位置に立つことが難しくなっている。情報化社会では、もはや誰かが誰かのメタの位置に立つという静的な構造が維持できなくなっている。
たとえばかつては、親が子供を「おまえはなにか考えているんだ！」としかるときに、子供はその善悪ではなく親に従い、反省するという位置に立たざる終えなかった。しかし現代では、子供も情報をもっているために、そのメタ位置に立ち、親の意見を冷静に対象化することができるようになっている。
たとえば、「彼女が好きだ！」と言う言葉を発した先から、「それはかわいくて、一緒にいればみなにうらやましがられるからで、本当は好きなどではないのでは？」というメタ言語を内証する。「このようなことを考える俺はどこか病んでいるのでは？」とさらにメタへと思考が向かう。
他者との関係性が、メタのメタ、メタのメタのメタ・・・という発散に陥るとき、そこでは、「リアリティ＝生の充実感」の確保が難しくなる。ブログで自己を公開するということは、自らパノプティコン構造を作り出す。そしてメタの位置にたつ「誰か」を作り出すのである。そのような「誰か」に見られていることによって、自己がなにものであるのかを作り出し、メタの発散を抑制するのである。
自分は必ず見られる
逆パノプティコンは現代のネット社会の特有ではない。それはラカンがしめした鏡像関係であり、患者と精神科医の関係である。患者は精神科医に自らを語ることによって、自己を再構築する助けとなる。ここでの精神科医であり、ネット上の見ているだろう人は、ラカンでいうところの「大文字の他者」へ繋がっている。すなわち、「自分が見られたい他者」である。
ブログにおいて自己を公開すると言うことは、ネットの先に「自分が見られたいと思う他者」を構築し、見られたい他者に見られているような自己を構築する行為である。だから「ブログは必ず読まれるのである。」
たとえば、最近は携帯電話のカメラで自己の性関係は撮られるが、それはネットの公開しなくても、撮った時点で、すでに「見られているのである。」たとえば、それはメールであるとか、掲示板の書き込みでも同じである。それらは書いた時点で、「自分が読まれたい他者」に読まれているのであり、自己を再構築する行為なのである。
ボクですか、この巨根をお見せできないのが残念です。いやいや、まじですって、いわばもうパノプチンコです・・・・・・・・・
*1:id:pikarrr:20040807#p1
