なぜ「モンスターハンター」はおもしろいのか その2

pikarrr2007-04-06

モンスターハンターでは100時間以上のプレイは普通


モンスターハンターポータブル 2nd(ASIN:B000GWKY9Y)は、まだ中盤にしかいっていないのに、すでにプレイ時間が100時間を超えた。しかしモンスターハンターでプレイ時間が100時間越えるのは普通なようなだ。なぜこれほど長くモンスターハンターがプレイされるのかといえば、クリアーするのが難しいからである。あるモンスターを狩るというクエストをクリアーするのには、1度でクリアーできるのはまれで、何度も何度も狩りに出かけ、チャンレンジする必要がある。

しかしモンスターハンターの特徴が難しいことになるのではない。ゲームを難しくすることは簡単なことである。設計段階で設定を高く設定すれば良いだけである。ゲーム離れが言われたのは、ゲームの操作、クリアーが難しくなりすぎたためと言われる。

そしてニンテンドーDSのヒットは、操作性を容易に、そしてソフトの暇つぶしにこなせるよに優しくしたためであるといわれる。モンスターハンターの特徴は、難しいのに、なぜ人々が向かわせることができるのか、そのおもしろさとはなにか、ということである。




アクションゲームはリアリティを指向する


モンスターハンターのおもしろさはまずモンスターを狩るというわかりやすさにある。その上でまず引き込まれるのがジュラシックパーク並のグラフィックのリアリティ、美しさにある。武器でモンスターを切り裂くときの悶絶、血しぶきには興奮する。狩りでは象、鹿もどきもでてくるが、抵抗しないこれら獲物を切り裂くのは残酷であり、罪悪感さえ感じる。そしてこの罪悪感こそリアリティであり、快感の源泉である。その意味では、モンスターハンターはアクションゲームである。

RPGとアクションゲームの違いはまさにアクション、運動性にある。RPGではバトルにおいてどのような攻撃をするかは時間に関係しない。選択は主体にゆだねられ、何時間先でもかまはない。しかしアクションゲームの場合は時間は主体の判断とは関係なくながれつづけ、敵はつぎつぎと攻撃してくる。だからそれにあわせた行為がせき立てつづけられる。このようにそもそもアクションゲームはリアリティを指向する。まるでそこに自分がいるように、リアリティある時間経過、リアルなグラフィック、リアルな反応、運動性とともに身体的な快感をえる。




時間的、身体的な負荷というアクションゲームの問題点


このようなアクションゲームの身体的な刺激の問題は、すぐに慣れてしまうことです。設定をかえても結局は敵を倒すという刺激に還元されてしまう。グラフィックのリアリティを売りにするプレーステーション3が苦戦する理由の一つもここにあるだろう。始めてプレイするとそのグラフィックのリアリティに感激する。しかしそれはすぐに慣れてしまう。

さらにアクションゲームの問題は、時間的な拘束と身体的な負荷をしいることにある。スタートすると強制的に時間が流れ、プレイヤーを拘束する。そしてたえずせき立てし、身体的な緊張を強いることになる。

現在のゲームの主流はRPGだろう。RPGの人気の要因は、時間的な拘束と身体的な負荷から解放されることにある。しかしそれだけではなく、RPGは身体的な刺激ではなく、物語として楽しむ。さまざまな物語、またそこからさらに発展する物語であり、それは一つの世界へと発展する。




モンスターハンターは時間的、身体的負荷を乗りこえる


このようなアクションゲームの問題に対して、モンスターハンターは主に二つの方法で対応している。一つはソフト面として、時間制限のクエスト(ミッション)制により、もう一つはハード面として、携帯機としてである。

時間制限のクエスト制とは、村でモンスター討伐の指令を受けとり、フィールドへ出かけて、モンスターを捜し出し、制限時間内にクエストを遂行する。このように時間拘束をくぎるとともに時間せきたてによる精神的な負荷時間をくぎる。どんなにがんばっても50分で時間切れ終了で、村に帰される。

さらに携帯機である利点は、テレビ画面前の拘束から解放される。テレビをみながら、寝ながら、家族に気兼ねなく、ときには気をぬきながら、長時間プレーすることができる。モンスターハンターもこの利点を活用されているモンスターとの戦闘時の緊張時以外の作業的な準備操作をテレビをみながら気楽にできることは、作業ゲーをふせぐために最重要である。

これらは、逆にプレー時間を長期的にする。時間的な拘束と身体的な負荷を低減するというよりも、それでものめり込ませるよう効果を持つと言える。




物語るゲームとしてのモンスターハンター


そしてこれにより、アクションゲームはどれも身体的な刺激で飽きてしまう問題を、乗りこえている。たとえばモンスターはなかなか倒せない。するとフィールドでの戦いと別に訓練所として、閉じた闘技場のなかで決められた装備でそのモンスターとやりあう。そして繰り返し戦い訓練する。その後にいざフィールドに出陣する。そこであらわれるモンスターは基本的には同じであるが、訓練所とフィールドという本番では違うのである。

より強い武器、必要な装備を手に入れるために別のクエストにでむき、素材集め行う。10に分かれたフィールドをどのように使うか、目的以外のモンスターにいかに対応するか、最初に一掃するのか、ある場所にモンスターを引き込むのかなど、作戦が求められる。そしていざ出陣する。

それでも簡単に倒せるわけではない。負けてしまうことは多々あり、50分間の死闘の末、時間切れということもある。そこに、刺激には還元できない物語が生まれる。50分間という物語であり、さらにはモンスターハンターとして成長する物語である。そのような試行錯誤を可能にするゲームとしての多様性がある。そしてプレイヤーは疲労しながらも長時間プレイすることになるのだ。
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