なぜ日本人はグローバルエリート権力を認めないのか

アメリカ人の考えた世界地図 http://eigo37.livedoor.biz/archives/51353360.html



世界を神聖と見るか、庭とみるか


アメリカはみごとに京都議定書でばっくれて、今度は一転、地球環境対策はアメリカが主導していくという。現に日本ではグリーンニューディールというフレーズは流行になって、不況対策もあって、ちょっとしたブームになっている。日本は環境対策ではずっと最先端をいっているにも関わらずだ。

最近はこのような地球環境対策などもあり、グローバルな統一規格をつくる傾向がつよい。以前、そのような国際会議に参加した日本人の話を聞いたことがあるが、とにかく対応のむずかしさを語っていた。国際標準検討の場というのは西洋中心主義、特にアメリカの発言力が強い。これはアメリカの経済力を背景にしているのだろうが、それとともにアメリカのエリートたちは日本人とは異なるように世界をみているのではないだろうか。

日本人は日本国内問題では泥臭い駆け引きの場であることを知っているし、短絡的に政治家など犯人捜しをするなど言いたい放題である。それに対して世界の問題になると政治的な駆け引きの場というよりも、もっと「合理的」「神聖な」場と見ているように感じる。それに対して、アメリカのエリートにとって世界は日本人の考える国内問題=自分たちの庭のような感覚をもち私欲を通すための泥臭い駆け引きの場でしかない。これは日本人にはわからない感性だろう。




日本人はグローバルエリート権力を見ない


たとえば今回の世界不況に関して、日本国内の対策を考える場合には経済学者の意見はそれほど重視されない。そして政治的な判断に対して問題は人格に還元するなど言いたい放題の世論として反応する。しかし国際問題になるととたんに経済学者が羅針盤のように重視される。

日本人にとって世界はいまだに理解しえないほど広大で多様で神秘にあふれている。そして今回の世界不況はマクロ経済学世界から押し寄せる自然現象であり黙って受け入れざるおえない。そこにアメリカの金融界隈のエリートたちの私欲が大きく働いたというように、この広大で神秘なな世界が一部の権力者によって左右されるほどに「小さい」ということを認められないのだ。

日本のガラパゴス化がいわれるが、それがほんとうに悪いのだろう。そもそも日本主導で世界標準するほどの経済・政治力はない以上、ガラパゴス化を進め、それが後で広大な世界へ広まっていけばいい。

新自由主義は、国際資本主義を再編するという理論的企図を実現するためのユートピア的プロジェクトとして解釈することもできるし、あるいは、資本蓄積のための条件を再構築し経済エリートの権力を回復するための政治的プロジェクトとして解釈することもできる。・・・新自由主義化は、グローバルな資本蓄積を再活性化する上であまり有効ではなかったが、経済エリートの権力を回復させたり、場合によっては(ロシアや中国)それを新たに創出したりする上では、目を見張るような成功を収めた。新自由主義的議論に見られる理論的ユートピアニズムは主として、この目標を達成するために必要なあらゆることを正当化し権威づける一大体系として機能してきたというのが私の結論である。P32


新自由主義―その歴史的展開と現在」 デヴィッド ハーヴェイ (ISBN:4861821061