ウェブは実社会と変わらず貨幣の力で動いている

pikarrr2009-12-24

ネットは実社会と変わらず貨幣の力で動いている


素朴にネットこそが左翼的な世界を構築する理想的な場ではないのか。現に民主化はネットを象徴する言葉として使われる。しかし実情は、左翼思想は嫌われ、自由競争、市場主義が歓迎されている

ネットは実社会と変わらずまさに貨幣の力で動いている。この貨幣の力とはなにか?実社会の貨幣の力とは、単に「金に汚い」守銭奴的なことではない。実社会でもみなただ金を儲けるために働いているのではない。その意味で、実社会の資本主義の拡張としてネットがあるということだ。




ウェブに生まれる反資本主義、共同体幻想の不思議?


ウェブはほぼ無償で愉しむことができるが、その経費はテレビ同様に広告費でまかなわれている。さらに無償で働くユーザーの生活は実生活の賃金により支えられている。また彼らが公開する知見の多くも実社会の仕事の経験からくるだろう。次々現れるウェブサービスの開発のインセンティブには当然、金銭的な成功があるだろう。そしてまさにネット関連こそがいまもっとも多くの資本主義的な成功者を生み出している。

テレビ、電話などが資本主義経済を促進するツールと認められるのに、なぜかウェブは反資本主義的に語られる。反資本主義的な言説を語る人々はサラリーマンやその子供だったりする。ウェブに生まれる不思議な反資本主義、共同体幻想はなにか?

そもそもはじめから貨幣には嫌悪がある。貨幣は人間関係を一瞬で精算し分断し合理化する力があり嫌われてきた。資本主義社会には貨幣に依存しながら嫌悪するという複雑な心情がある。そしてウェブではこの貨幣嫌悪面が強調されているようだ。

確かにネットは産業構造の転換を進めた。マスメディアを追い詰めるなど特にサービス業にパラダイムシフトを起こす。しかしそれは資本主義経済を転倒するわけではなく、新たに資本家を生み出しているだけである。たとえばマスメディアもその昔には一つの民主化であったわけだ。




ウェブとは「見せ合いっこ」する共同体


たとえばウェブ上の「生産、流通の民主化としてロングテールが話題になったが、簡単に言えば金にならない趣味の世界である。ぶっちゃけ言えば誰もがロングテール市場なんか求めていない。やりたい人がただ趣味でやってるだけだ。そして儲けるのはロングテールの場を供給したり、ナビゲートする一部のメタ・ロングテール屋である。ロングテールとはまさに貧困の新しい呼び名である。

誰でも表現できるとき誰がそれを見るのか。簡単である「見合いっこ」するのだ。たとえばカラオケでよく見られる光景。歌っているのを見合いっこする。そりゃ、歌って金をもらえればそんな嬉しいことはないが、そんなことはないわけで、大切なのは見合いっこ仲間である。それがなければ民主化は成立しない。




Google「カラオケ店」はなぜ思想を語るのか


そしてウェブではなぜか見合いっこが反資本主義、共同体幻想まで高められる。そして思想まで高めたのは「カラオケ店」である。いままで歌は大手の歌手、マスメディアに牛耳られていた。私たちは歌うことを民主化しみんなに解放する!カラオケ店にきてね♪というわけだ。そして儲けるのはamazonGoogle「カラオケ店」である。

大手マスメディアなどの権力サイドから押しつけられたものではなく、ウェブなら自由度が広がり、ロングテールでは真に欲しいものが見つかる。この「真に」こそがウェブの最大のドグマであり、商品である。真の出会い、真の自分。精神分析でいう子供のファミリー・ロマンス。「本当の両親は他にいるんだ。」しかしそもそも「真の」ものは事後的にしか見出されない。その意味でウェブのロングテールは新たな消費者を生産している。カラオケ店が多くのアマチュア歌手=カラオケファンを生産したように。

しかしdocomo「カラオケ店」は思想を語らない。ケータイ経由のネットユーザーは資本主義の一部であることを素直にうけいれる。しかしPCとiPhonのネットユーザーは嫌銭とか自由とか解放を語るのはなぜだろうか。そこには起源としてのアメリカの「カリフォルニア・イデオロギーからの流れがあるのだろうか。

カリフォルニア・イデオロギーとは: 60年代から70年代にかけて、アメリカ西海岸の知識人や若者層によって共有された理想であり、黒人公民権運動、大学紛争、フォーク運動、ロック、市民運動フリーマーケット運動、芸術、ベトナム反戦運動、ヒッピー・ムーヴメントなどの基盤となった考え方。

カリフォルニア・イデオロギーの特徴:

(1)反体制(中央集権性)的=自律的小社会(コミューン)を理想とする
(2)反商業主義的=互恵的相互交換を理想とする
(3)個人の自由と平等の最大限の主張
(4)禁欲的理想主義
(5)反機械文明=自然への回帰の主張


http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/1015/new_page_a.htm


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