なぜ「秘密のケンミンSHOW」は面白いのか

pikarrr2010-07-25

「えっ、これって全国共通じゃないの?」


最近のバラエティ番組の良作品の一つに秘密のケンミンSHOWhttp://www.ytv.co.jp/kenmin_show/)があげられるだろう。もはや島国日本はメディア、流通ネットワークが隅々まで張り巡らされ、どこでも同じものが手に入るコンビニエンスな「ハイウェイ社会」である。しかしあの番組をみると、まだまた地域独自の文化があることがわかる。

それは地方の「名物」ではない。地方の名物とは「中央」とあえて差異を強調することで集客を狙った演出であり、中心ネットワークの一部である。たとえば旅行先で買ったお土産の生産地をみると実は中央で大量生産されたものであることは普通だろう。

秘密のケンミンSHOWが面白いのは、地方の人もこれが地域的なことであることを知らないことだ。「えっ、これって全国共通じゃないの?」と驚くのを見ることが微笑ましく、なぜか安堵する。




日本という「世界」はまだまだ面白い


全国共通で、地方の差異も管理されたコビニエンスな社会はとても機能的で便利で安全である。しかしそこに閉塞がつきまとう。そこに管理されていない、しみのように張りつく偏差を見つけると安堵をおぼえる。多様であることが安堵である。ただ多様すぎない限りだが。

この番組自体はまた中央の一部として機能している。この番組で紹介されることで新たな地方名物が生まれ、地方の人もそれを名物として演出する。決して偏差を生み出すことはなく消費するのみであり、近いうちにネタがなくなり過剰演出になり視聴者は離れていくだろう。

それでもわざわさアフリカの奥地に行かなくても日本という「世界」はまだまだ面白いことを発見した、日本人を元気にする番組だと思う。

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