なぜ中東の民主化革命はネット革命なのか

pikarrr2011-02-24

ネットが革命を起こした

衝撃・連鎖崩壊:中東はどこへ行くのか/上 指導者なき民衆革命
http://mainichi.jp/select/world/news/20110213ddm001030050000c.html


「大統領が辞めたなんて、まだ信じられない」。エジプトのムバラク政権が倒れた11日夜、民衆革命の拠点となったカイロ・タハリール広場から外れた路地のカフェで、カイロ大法学部2年のマフムードさん(20)は、沸き立つ群衆を遠目に半ば放心状態だった。

1月25日に始まった反政府デモに初日から毎日参加。後頭部には警官に警棒で殴られた傷痕が生々しい。動機はいくつもある。生まれる前から大統領が同じで、政府には不正が横行、自由にものが言えず、同世代には失業者があふれている。

18日間で群衆が変化していくのに驚いた。爆発的に膨れあがっただけでなく、初期の暴力状態が消え、最後は家族連れも交じるお祭り状態になった。

集まったきっかけは、インターネットや携帯電話など新しい通信手段で得た情報だ。お互い顔も知らず、指導者も政策もない。広場に来てから、標語を掲げるため地面で手書きする人々だ。数も質も、独裁政権の弾圧が使えない新しい形の民衆蜂起が革命として姿を現した。

両国の怒りのもとになった若年層の増大とその高失業率は、他の強権国家に共通の課題となっている。王族に富と権力が集中する世界最大の産油国サウジアラビアは、人口の過半数が25歳未満で、若年層の失業率は3割との推計もある。政府は海外留学制度などを強化し若者の不満そらしを図るが、ネットなどで世界の状況を熟知する若者は将来的な民主化要求運動の核になる可能性もある。

とうとうネットが革命を起こした。しかし期待されていたグローバルビレッジ的な新たに世界への革命ではなく、独裁政権からの民主化革命である。

エジプトはイラン、イラクと違い、気楽にピラミッド観光で訪れることができる、中東でも市場も民主化も進んだ国だと思っていたのではないだろうか。それが、これほどの不満が鬱積した民主化が進んでいない国だったとは。これがほとんどの日本人の驚きだろう。

いかに情報が操作されて伝えられているか。ふたたびイラク戦争はなんだったのかが問われるだろう。大量破壊兵器もなく、フセイン独裁政権から民主主義を守ったことが大義だった。しかしエジプトも同じ独裁政権だったならその違いはなにか。アメリカに友好的かだけになる。そのために世界中の軍事力が投入されたのか。今回の革命は、情報をリークすることでボク達もすでに巻きこまれている。




中東革命はネット革命の一部でしかない


その威力をよくも、わるくも知らしめているのがウィキリークスだろう。今回の革命と同じネットの原理が働いている。1つは暗号化。情報が安価に高度な暗号処理され世界を飛びかう。もう一つは張り巡らされた情報網。現実的に国家をしてもネットに流れる情報を押さえ込むことができない。

これらの原理はネットの始めからのものであるが、それでも国家が本気になれば、あるいはボクたちの知らないところですでに実は、と思われていたが、本当に有用であることを証明してしまった。

まさにネットの真の力を知らしめたという意味で、単に中東での市民化革命を越えた革命なんだろう。だからネット革命はやはり始まっていて、まだ続くだろう。中東の民主化革命が、民主化が遅れた国々に拡散するというのはその一部でしかない。ネットが普及しはじめてまだ二十年もたっていないのだから。

いま起こっていることはこういうことなんだろうと思う。地球への善意のために普及を強制される先進国と、安いインフラという生きるための経済効果として普及を促進する途上国とではどちらのインセンティブが高いか。

・・・人々がアイフォンに魅了される理由の一つが、この端末が情報社会をサバイブするための武器(のメタファー)であるためだ。しかし途上国の人たちにとって携帯電話は(メタファーでなく)まさに生き延びるためのツールである。

・・・これは、途上国が頑張って先進国に追いつこうとしていると言うことではなく、ネットの別の在り方を示しているんじゃないか。

ネットの革命は誰でも安価に情報を発信できるという情報生産の民主化であった。それが途上国では分散化電源によるエネルギー生産の民主化や輸送機器の生産の民主化とどん欲に結びついていく。そしてネットが持つ民主化の力が新たに国の在り方をつくる、というような。それは将来のボクらの実験室でもある。


「なぜ情報革命は途上国から訪れるのか」 pikarrrのブログ  http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20100505#p1

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■ネット上の革命はすでにはじまっている? http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20090514#p1

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