なぜ日本語はフリーズしやすいのか 

pikarrr2013-01-25

フリーズしやすい日本語


第二言語として日本語を学ぶのはむずかしいとよく聞く。言語はコンテクストと切り離せないわけだが、日本語はよりコンテクスト依存が高い。敬語あるいは主語を省略するなどのように相手や状況(コンテクスト)より表現を使い分けなければならない。あと、書き言葉がまた難しい。たとえば漢字には多数の読みがある。音読み、訓読み、それぞれが使い方でいくつかの読みがある。これも慣習として覚えなければならない。

NHK「クールジャパン、発掘!かっこいいニッポン」で、「なぜ日本人は年齢を聞くのか」というテーマで放送していた。西洋ではその人の能力と年齢は関係がないからあまり年齢を聞くことがないという。年齢が重要であることに賛同したのは、儒教文化から目上への礼儀が重要な韓国人だけである。

そこで実験が行われた。見知らぬ数人の日本人の男女の若者を集めてバーベキューをしてもらう。みんな敬語を使いながら探り探り作業を始める。しかし途中、年齢を書いた名札を渡すと、年上は年下にタメグチになり指図していく。役割分担が明確になり作業が円滑に進むようになる。 これは日本人なら誰もが経験があることではないだろうか。

コンテクスト依存性が低い英語ではコンテクストが曖昧でもコミュニケーションがしやすい。しかしコンテクスト依存性が高い日本語はコンテクストが曖昧だとフリーズしてしまう欠点をもつ。日本人でも英語で話す場合にはコンテクストの拘束から自由になりやすい。言語のもつ法則性でこれだけ明確に社会生活に影響するということがおもしろい。




日本人は飲みニケーションによりフリーズを回避する


このコンテクストの問題は想像以上に根深い。落ち着かない言葉はコミュニケーションを不快にして、信頼関係を構築できずに、人間関係をぎくしゃくさせる。特にハイコンテクストでコミュニケーション調整型の日本の組織では致命的だ。

会社で毎年新人が入社する年功序列組織なら、何年入社かがわかればとりあえずのコミュニケーションの取り方はわかる。しかし最近は途中入社や組織も単なる立て組織でなく複雑になり、コンテクストがわかりにくいと日本語は使いにくくなりフリーズしがちでコミュニケーションか避けられるようになる。

日本人が飲みニケーションを重視するのは、お互いを確認しあいコンテクストを共有するためだろう。日本語は関係が複雑になればなるほどフリーズしやすい面倒な言語だ。




女性上司は男性部下の前でフリーズする


日本で女性の社会進出が進まない理由の一つにも同様な原因があるのではないだろうか。日本語では男性と女性が話す言葉に大きな違いがある。そして指示をだす権力言葉は基本的に男言葉である。女性が指示をだすための権力言葉がないのだ。

たとえば英語なら、男だろうが女だろうが、年上だろうが、年下だろうが仕事のやり直しを指示する場合には「Please correct」で済む。日本語では男性上司が部下に仕事のやり直しを指示する場合、強さの順で並べると、以下のようになる。このうち女性上司が部下へ使える言葉はどれか。1)〜4)まではむずかしいだろう。2)「修正してくれ」まで言い切らずに「修正して」は言えるかもしれない。4)の修正版で「修正してもらえる?」と疑問文にして柔らかくすることもある。あるいは、女言葉で「修正してちょうだい!」というのは芝居がかかっている。

1)修正しろ 
2)修正してくれ 
3)修正してくれるか 
4)修正してもらえるか 
5)修正してください。

日本語には、女性が指示を出す円滑な言葉がないのだ。言葉がないということは円滑なコミュニケーションには致命的だ。いまの「です、ます、だ」調などの標準語として作られたのは明治時代であるが、女性が男性に指示をだす言葉遣いの標準語を作ったらどうだろうか。一気に女性の社会進出が進むのではないだろうか。

*1