なぜアメリカはマッドサイエンスの国なのか 「Dr.HOUSE」

pikarrr2013-03-09

医療推理ドラマ「Dr.HOUSE」


「Dr.HOUSE」(http://www.drhouse-tv.jp/)はアメリカの医療推理ドラマ。物語の始まりはいつも同じだ。ある場所で突然人が倒れる。そしてハウスのいる病院に担ぎ込まれる。ハウスは原因不明の症状をもつ患者を診断するチームのボス。ハウスチームは時期刻々と症状が悪化していく患者に対して治療を試みる。ハウスは天才的な知能をもつが、口が悪く皮肉屋で昔の事故で片足が不自由で杖をついて歩き、いまのその後遺症から痛みを抑えるためにきつい薬を服用している。

このドラマの特徴は徹底的な唯物論的世界であることだ。治療は薬の投与が中心で、薬の投与という原因と身体反応という結果が因果律的に明確である。「ハウスたちの推理→治療(薬の投与)→身体反応」というシステムをフィードバック的に連鎖させて病というクイズが最終的に解かれる。

単に唯物論的に扱うだけではなく、ハウス自身が性格の悪い冷めた唯物論者というキャラクターとして描かれことでチーム員や患者およびその関係者の常識的なヒューマニズムとのコントラストが描かれる。そこに生死を描く医療ドラマには不可欠なヒューマニズムな倫理は維持されているわけだが、それでもここまで病を因果律的に描くのはやはりアメリカ人の発想だろう。




アメリカのマッドサイエンス文化


アメリカの思想の基盤は新大陸へ移住したときのキリスト教プロテスタント)と(社会)科学。新しい国というのもあって伝統的な価値観がないので、その時代に指示されていた科学思想を取り入れた。キリスト教と科学はある種真逆だがこれらが混在するところがアメリカの面白いところだろう。キリスト教的に倫理的でうるさいと思うと科学的にドライで合理的。

欧州は世界大戦で戦場になり、ナチスの悲劇もあったので、科学技術には懐疑的だ。でもアメリカは世界大戦で戦場にならずに、むしろ弱る欧州を横目に世界一の強国を手に位入れた。だから啓蒙主義を経て世界大戦前に絶頂を迎えた科学思想へ熱狂をいまももっとも継承している。

現代のアメリカは、心理学、認知科学脳科学遺伝子工学など人間科学の本場で、統計や経済学、経営学などの社会科学でも先端をいっているのはそのためだ。日本人のような慣習国家から見るとドライでかっこよく見えるだろうが、倫理的な文化が浅く不器用で、科学重視の度が過ぎることもが多い世界でもっともマッドサイエンスの国であることも確かだ。