なぜ海上は自由なのか

pikarrr2013-08-13

海上交通と日本人の伝統的自由思想


陸上交通の目的はさまざまである。そして陸上は輸送路である土地は権力者に管理されている場合がほとんどでさまざまな制約を受ける。それに対して海上交通はその多くが交易という商業として明確な目的のもとに進められる。海上交通は大規模になるほど船を作るなど資本が必要になり、その回収も含めて利益をあげる交易である傾向が強い。

商業は民間の自由な活発な活動を本質として成功し、権力者の管理を越えていく力を持つ。だから海上交通が発達した国はその根にある種の自由な思想をもつ。

島国である日本は太古から海上交通が発達してきた。日本国内はもちろん韓国など海外と海上交通網を構築してきた。そのほとんどは交易である。日本人のもつ自由の根の一つはここにあるんだろう。大宝律令など中国から輸入した土地を管理する農本主義以前にある日本人のもつ自由な感性はこのような海上交通に基づく、商人気質に根をもつのだろう。




海上交通と近代西洋の世界征服


欧州はローマ帝国解体以来、周辺となった。その中心はイスラム圏に移った。そして再び欧州が盛り返すとき、周辺として盛り返した。まずはアジアとの交易に成功したイタリア都市国家から始まる。交易による富を糧にした。すなわち民間の商人たちを中心とした。その後、富はスペイン、フランスの大国へ移るが成功の構図は同じで民間の自由な交易を基礎とした。

欧州の大国は民間の投資家たちから金を借りて国を運営した。特に戦争に勝つには資金が必要だった。それに対して中国、イスラムなどの大国は民間を押さえ込み、商業を押さえ込み支配を確立した。これらのアジアの国々は土地を管理する体制を基礎としたためだ。

欧州は海上により復活した。交易が収入源であり、やがてそれが植民地主義として世界支配につながる。そしてその過程で重要であったのが大砲の発達である。驚くべきことに欧州は大砲を積んだ戦艦数隻で、インド、中国などの大国を服従させた。

そして欧州で大砲が発展した理由のひとつが海上交通にある。巨大な大砲は陸地では運搬がむずかしいか、船に積み込むことで機動力をもつ。海上交通による交易を源泉とした欧州において、大砲は発達し、そしてやがて世界征服にまで繋がっていく。

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