なぜワンピースは面白いのか

pikarrr2014-07-06

ワンピースの「大きな物語


最近、ワンピースを読み直しているマリンフォード戦争当たり、何度見ても泣ける。ワンピースのおもしろさってなんだろうか。ワンピースのコミック三億冊突破だよ。ワンピースのおもしろさは色々あるけど、結局、泣けるんだよな。読んでると引き込まれて、クライマックスあたりでうるっとくる。いまうるっとくるコンテンツなんか他にないよな。

あとは、キャラクターの豊富さだよね。とにかく登場人物が多い。次々に新キャラがでてくるんだけど、ちゃんと一人一人が見せ場があって魅力的。あれだけのキャラがでて、インフレーションしないのが不思議。

鳥山明が言ってたと思うんだけど、敵が現れて、悟空がパワーアップしてやっつける。するとさらに強い敵をつくって、また悟空をパワーアップさせる。このインフレーションに疲弊したと。多かれ少なかれ、格闘系マンガの宿命だと思う。

ワンピースにもそういう面はあるんだけど、それがインフレーションを起こさないのは、海軍大将とか、四皇とか、大きな物語の中で最初に位置づけされてる。それで、きちんと負けながら、成長していく。

だから物語としての完成度がすごい。ワンピースは一つの壮大な物語があって、それを順にきちんと描いている。だから前後のつながりもしっかりして、多くの複線があって、謎解きみたいにもなってる。これだけ長くやっても飽きないのが確実に終わりに向かって描かれてる。大きな風呂敷を広げてあとでつじつまが合わなくて飽きられることがない。物語がほんとによく練られて、どんでん返しのジェットコースター感もある。

確かにうるとしにくい時代、メタメタメタで、みんな冷めた時代、哲学的には「大きな物語の凋落」の時代で、大きな物語を描いて、うるとさせるワンピースというコンテンツのすごさがあるんだと思う。




ワンピースの義理人情世界


なんだかんだいってもワンピースって義理人情の世界なんですよ。海賊とは、戦国時代や、今だと任侠のメタファーで。なんだかんだいっても、日本人は義理人情な国民なんですよ。ルフィは昔でいえば森の石松。とにかく全体最適なとか糞食らえで、義理と人情で突っ走る。日本人はいまも昔もそういうのが好きなんだよ。

現代はつながりが繊細になってるんだね。困ってる人がいる。助けたいと思う。でも大きなお世話かもしれない。個人が重視される時代。プライドも高いし、趣向も様々。それがサイレントプアの複雑さなんだよな。逆にはっきり助けてくださいといってくれると嬉しい。でもカッコ悪くてなかなか言えない。

社会学で、「無関心の儀礼」というのがある。現代は無関心を装ってあげることが礼儀。街には色んな格好の人がいるけど、気にしてないように粋すぎる。それが都会人ってものだよ。田舎者はそれを都会の人は冷たいというが、それが都会で生活する礼儀。で、匿名のネット上で必死につながりを満たそうとする。だから天然ルフィのまっすぐな義理人情に日本総国民うるとくるんだろうな。

ワンピースで前から気になっていたのが、ルフィの容姿。ほんと特徴がない。無名性、誰でもない性が高い。普通、主人公にする顔じゃないよ。逆にそのアクのなさが成功している気がする。ルフィの無個性な顔はその天然さを強調してるだろうな。