ボクの好きな論語 礼楽主義

pikarrr2015-07-11


論語出展元 
総合心理相談 ES DISCOVERY 「孔子の『論語』と中国古典の解説」
http://www5f.biglobe.ne.jp/~mind/knowledge/classic/confucius.html#RONGO




1 礼楽主義

顔淵5

顔淵、仁を問う。
子曰く、
己に克ちて礼に復る(かえる)を仁と為す。
一日己に克ちて礼に復れば天下仁に帰す。
仁を為すは己に由る(よる)、而うして人に由らんや。
顔淵曰く、請う、その目を問わん。
子曰く、
礼に非ざれば視ること勿れ、
礼に非ざれば聴くこと勿れ、
礼に非ざれば言うこと勿れ、
礼に非ざれば動くこと勿れ。

顔淵曰く、
回、不敏と雖も、請う、斯の(この)語を事とせん。



[口語訳]顔淵が仁についてお尋ねした。先生は答えて言われた。『自己に打ち克って礼に復帰することが仁の道である。一日でも自己に打ち克って礼の規則に立ち返ることができれば、天下の人民はその仁徳に帰服するだろう。仁の実践は自己の努力に由来するので、他人に頼って仁を実践することなどはできない。』。顔淵がさらに質問をした。『どうか、仁徳の具体的な実践項目について教えてください。』。先生はお答えになられた。『礼の規則に外れていれば見てはいけない、礼の規則でなければ聴いてはいけない、礼の規則を無視した発言をしてはいけない、礼の規則に外れた行動をしてはいけない。』。顔淵が申し上げた。『私は愚鈍な人物ではありますが、先生の言葉を実践させて頂きたいと思っています。』。

泰伯2

子曰く、
恭にして礼なければ則ち労す。
慎にして礼なければ則ち思す(しす)。
勇にして礼なければ則ち乱る。
直にして礼なければ則ち絞す。

君子、親(しん)に篤ければ則ち民(たみ)仁に興る。
故旧(こきゅう)遺れざれば(わすれざれば)則ち民偸からず(うすからず)。



[口語訳]先生がおっしゃった。『丁寧なだけで礼がなければ徒労に終わる。控え目なだけで礼を知らなければ物思いに耽るだけだ。勇敢なだけで礼を知らなければ乱暴になってしまう。率直なだけで礼を知らないと図々しく辛らつになるだけだ。』。『君子(貴族)が近親者に親切であれば、人民は仁徳を求め始める。君子が昔の友人を忘れなければ、人民も薄情ではなくなる。』

雍也27、顔淵12

子曰く、
君子博く(ひろく)文を学びて、これを約するに礼を以てすれば、亦以て畔かざるべし(そむかざるべし)。



[口語訳]先生が言われた。『学問に励む君子が、幅広く文献・書物を学んで、礼によってその知識を集約するならば、正しい道徳の規範から外れることはないだろう。』

陽貨9

子曰く、
礼と云い、礼と云う、玉帛(ぎょくはく)を云わんや。
楽と云い楽と云う、鐘鼓(しょうこ)を云わんや。



[口語訳]先生が言われた。『礼だ礼だとよく言われるものだが、神(祖先)に捧げる玉や絹ばかりが礼の形ではない。音楽だ音楽だとよく言われるものだが、鍾や太鼓を鳴らすばかりが音楽の形ではないのだよ。』

泰伯8

子曰く、
詩に興り、礼に立ち、楽(がく)に成る。



[口語訳]先生が言われた。『詩を読んで興奮し、礼を習って自己の社会的自立をし、音楽を聴いて人間の教養を完成する。』

雍也20
子曰く、
これを知る者はこれを好む者に如かず、
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。



[口語訳]先生が言われた。『物事を理解する者は、物事を好んでいる人に及ばない。物事を好んでいる者は、物事を心から楽しんでいる人にはかなわない。』

学而12

有子曰く、
礼はこれ和を用うるを貴しと為す。
先王の道も斯を美し(よし)と為すも、小大これに由れば、行われざる所あり。
和を知りて和せんとするも、礼を以ってこれを節せざれば亦行われざればなり。



[口語訳]有先生がこうおっしゃった。『礼の実現には、調和を用いることが大切である。昔の聖王(尭・舜・禹)の道も、礼の実践が素晴らしかった。しかし、小事も大事も礼式ばかりに依拠しているとうまくいかないことがある。調和が大切だということを知って調和を図ろうとしても、礼の本質をもって節制を加えないと(礼の本質である身分秩序を守らないと)、(悪平等となって)物事がうまくいかなくなる。』

顔淵5

司馬牛、憂えて曰く、
人は皆兄弟(けいてい)有れども、我独り亡し(なし)。
子夏曰く、
商これを聞けり、死生、命あり、富貴、天に在り。
君子敬みて(つつしみて)失なく、人と与わり(まじわり)恭しくして礼あらば、四海の内皆兄弟たらん
君子何ぞ兄弟なきを患えん(うれえん)。



[口語訳]司馬牛は憂鬱な雰囲気で言った。『人間にはみんな兄弟がいるというのに、私だけはただ一人だ。』。子夏が言った。『私は死生の別も運命であり、富み栄えるのも天命であるという言い伝えを聞いている。君子が慎み深い態度をとって間違いを行わず、人と親切に交流して礼を失わなければ、世界のすべての人々がみな兄弟になるだろう。君子であるものがどうして兄弟がないというくらいのことを心配するだろうか。』。

為政3

子曰く、
これを導くに政を以ってし、これを斉える(ととのえる)に刑を以ってすれば、民免れて恥なし。
これを導くに徳を以ってし、これを斉えるに礼を以ってすれば、恥有りて且つ格し(かつただし)。



[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『人民を導くのに法制をもってし、人民を統治するのに刑罰をもってすれば、人民は法律の網をくぐり抜けて恥じることがない。人民を導くのに道徳をもってし、人民を統治するのに礼節をもってすれば、人民は(徳と礼節を失う悪事に対する)恥を知りその身を正すようになる。』

里仁13

子曰く、
能く礼譲(れいじょう)を以て国を為めん(おさめん)か、何かあらん。
能く礼譲を以て国を為めずんば、礼を如何(いかん)せん。



[口語訳]先生が言われた。『礼節と譲り合う精神で国を治めることができるだろうか?それは、難しいことではない(それが、どれほどのことがあろうか)。礼節と譲り合う気持ちで国が治められないのであれば、礼が何の役に立つというのか?(いや、何の役にも立たない)。』

憲問41

子曰く、
上(かみ)礼を好めば、則ち民(たみ)使い易し。



[口語訳]先生が言われた。『人の上に立つ者が礼を好んでいれば、人民をその威厳によって使役するのは簡単なことである。』




2 実行重視

為政13

子貢、君子を問う。
子曰く、
先ず(まず)その言を行う、
而して(しこうして)後(のち)これに従う。



[口語訳]子貢が君子について尋ねた。先生(孔子)は答えておっしゃった。『まず言いたい事柄を実行し、その後で、自分の主張を述べる人こそ君子である』

雍也22

樊遅(はんち)、知を問う。
子曰く、
民の義を務め、鬼神を敬して遠ざく、知と謂うべし。
仁を問う。
子曰く、
仁者は先ず難んで(なやんで)後に獲る、仁と謂うべし。



[口語訳]樊遅(はんち)が知について尋ねた。先生はお答えになられた。『人民に対して人間としての義務を果たす大切さを教え、鬼神(祖先・神霊)を尊敬しながら、遠ざけておくようにする。これが知と言えるだろう。』。樊遅は仁についても質問した。先生は言われた。『仁者は、最初に難しい問題を片付けて、後で実利を得るようにする。これが仁と言えるだろう。』

学而6

子曰く、
弟子(ていし)入りては則ち(すなわち)孝、
出でては則ち悌、
謹みて信あり、
汎く(ひろく)衆を愛して仁に親しみ、
行いて余力あれば、則ち以って文を学ぶ。"



[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『若者たちよ、家庭に入れば親に孝行を尽くし、家庭を出れば地域社会の年長者に従順に仕え、言行を慎んで誠実さを守り、誰でも広く愛して人徳のある人格者とは親しくしなさい。これらの事を実行して余力があれば、そこで初めて書物を学ぶとよい。』

述而24

子、四つを以て教う。文・行・忠・信



[口語訳]先生は四つの重要なことを教えてくださった。それは、文・行・忠・信である。




3 学問

衛霊公3

子曰く、
賜(し)よ、女(なんじ)予(われ)を以て多く学びてこれを識れる者と為すか。
対えて曰く、然り、非ざるか。
曰く、非ず、予、一を以てこれを貫く



[口語訳]先生が言われた。『子貢よ、お前は、私が多くの学問を修めてたくさんの知識を持っている人物だと思うか?』。子貢がお答えして言った。『そうです。そうではないのですか?』。先生が言われた。『私は博識な物知りなどではない。私はただ一つの道を貫いてきただけなのだ。』。

述而27

子曰く、
蓋し(けだし)知らずしてこれを作る者あらん
我は是(これ)なきなり。
多く聞き、その善きものを択びて(えらびて)これに従い、
多く見、これを識す(しるす)は、知れるの次なり。



[口語訳]先生が言われた。『世の人の中には、自分が正確に知りもしないものを、自分勝手に創作するものがいるようだ。私はそのようなことはしない。私は多くの人の話を聞き、その中から善いものを選び出してそれを模範とする。更に、多くの書籍を読んで、その内容から善いものを選んでとりあえず記憶する。これを、正しい理解の前段階である。』

為政11

子曰く、
故きを温めて新しきを知る、
以って師と為すべし。



[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『過去の古い事柄を再び考え、新しい事柄も知れば、他人を教える師となることができるだろう。』

述而1

子曰く、
述べて作らず、信じて古(いにしえ)を好む。
窃か(ひそか)に我を老彭(ろうほう)に比す。



[口語訳]先生(孔子)が言われた。『陳述するだけで新たに制作しない、古代の教えを信じてそれを好んでいる。そんな自分を密かに老彭になぞらえているのだ。』




3 合理性

雍也26

宰我(さいが)、問いて曰く、
仁者はこれに告ぐるに井(せい)に仁ありと曰うと雖も、それこれに従わんか。
子曰く、
何為れぞ(なんすれぞ)それ然らんや。
君子は逝かしむべきなり、陥らしむべからざるなり。
欺くべきなり、罔し(あやうし)ことあるべからざるなり。



[口語訳]宰我(さいが)がお尋ねして言った。『仁者は、(嘘であっても)井戸の中に人が落ちたと聞けば、即座に井戸に飛び込むでしょうか。』。孔子がお答えして言われた。『どうしてそんなことをするだろうか。君子であればそこまで行かせることはできるが、井戸の中にまで落とすことは出来ない。君子を騙すことはできるが、状況を確認しないままに飛び込むような無知には出来ない。』

子路

子路曰く、衛の君、子を待ちて政を為さしむれば、子将に奚(なに)をか先にせん。
子曰わく、必ずや名を正さんか。
子路曰わく、是(これ)有るかな、子の迂(う)なるや。奚(なん)ぞ其れ正さん。
子曰わく、野(や)なるかな由や。
君子は其の知らざる所に於いて蓋闕如(かつけつじょ)たり。
名正しからざれば則ち言順わず(したがわず)、
言順わざれば則ち事成らず、
事成らざれば則ち礼楽興らず、
礼楽興らざれば則ち刑罰中たらず(あたらず)、
刑罰中たらざれば則ち民手足を措(お)く所なし。
故に君子はこれに名づくれば必ず言うべきなり。
これを言えば必ず行うべきなり。
君子、其の言に於いて苟くも(いやしくも)する所なきのみ。



[口語訳]子路が言った。『衛の君主が、先生をお呼びして政治を任されたとすると、先生はまず何を先にされますか。』。先生はおっしゃった。『きっと名目を正しく定義するだろう。』。子路が言った。『先生は全く迂遠なやり方をされるものですね。どうして名目を正そうとするのですか。』。先生がお答えになった。『子路は、相変わらず野蛮であるな。君子は自分の知らないことに対しては、余計な口を出さないものだ。名目が正しくなければ、話の筋道が通らず、話の筋道が通っていなければ政治は成功しない。政治が成功しないと礼楽の文化様式は振興せず、礼楽が振興しなければ刑罰が公正でなくなってしまう。刑罰が公正でなくなってしまえば、人民は手足をゆったりと伸ばすことさえ出来なくなってしまう。だから、君子は何かに名づける時には、必ず言葉でしっかりと名目を定義するのだ。名目を定義すれば、必ず実行すべきである。その有言実行のため、君子は軽はずみな発言をすることがないのである。』。

子路

樊遅(はんち)、稼を学ばんことを請う。
子曰わく、吾、老農に如かず(しかず)。圃(ほ)を為る(つくる)ことを学ばんと請う。
子曰く、吾老圃(ろうほ)に如かず。
樊遅出ず。
子曰く、小人なるかな、樊須(はんす)や。
上(かみ)礼を好めば、則ち民は敢えて敬せざること莫し(なし)。
上義を好めば、則ち民は敢えて服せざること莫し。
上信を好めば、則ち民は敢えて情を用いざること莫し。
それ是く(かく)の如くなれば、則ち四方の民は其の子を襁負(きょうふ)して至らん。
焉んぞ稼を用いん。



[口語訳]樊遅が穀物栽培について学びたいとお願いした。先生は言われた。『私は穀物栽培の専従者には及ばない。』。樊遅が野菜栽培について学びたいとお願いした。先生は言われた。『私は野菜栽培の専門家には及ばない。』。樊遅が出てから先生が言われた。『樊須という人物は徳の少ない小人であるな。為政者が礼を好めば、人民は彼を尊敬しないものはなく、為政者が正義を志向すれば、人民で彼に服従しないものはない。為政者が誠実を重視すれば、人民には誠実でないものがいなくなる。そのようになると、四方の人民が自分の子を背負って、その為政者のところに集まってくる。どうして、自分自身で農業をする必要があるのだろうか(君子は本業である政治に専心すべきであるのに)。』。

先進12

季路(きろ)、鬼神に事えん(つかえん)ことを問う。
子曰く、
未だ人に事うる能わず、焉んぞ(いずくんぞ)能く鬼に事えんか。
曰く、敢えて死を問う。
曰く、未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん。



[口語訳]子路が、死者の霊魂へのお仕えの仕方を聞いた。先生がお答えになった。『生きている人間に仕えることが十分でないのに、どうして死者の霊魂などにお仕えすることができるだろうか?いや、できない。』。子路は更に、死について質問した。先生は言われた。『まだ生について十分なことを知らないのに、どうして死について知ることができるだろうか?』。




4 徳

里仁12

子曰く、
利に放りて(よりて)行えば、怨み(うらみ)多し。



[口語訳]先生が言われた。『利益に従って行動すると、人から怨みを買うことが多い。』

里仁16

子曰く、
君子は義に喩り(さとり)、小人は利に喩る。



[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『君子は正義(義務)に明るく、小人は利益に明るい。』

里仁25

子曰く、徳は孤ならず、必ず隣あり。



[口語訳]先生が言われた。『道徳を実践する者は孤立しない。必ずその徳を慕って集まってくる隣人(同志・仲間)がある。』

憲問34

或るひと曰く、徳を以て怨に報ぜば何如(いかん)。
子曰く、何を以てか徳に報ぜん、直きを以て怨に報じ、徳を以て徳に報ぜよ。"



[口語訳]ある人が言った。『徳でもって、怨恨に返したらどうだろうか。』。先生が言われた。『そうなると、徳に何をもって返すのでしょうか。正直・誠実な態度でもって怨恨に返し、徳には徳を持って返すべきでしょう。』

季氏7

孔子曰く、
君子に三戒(さんかい)あり。
少き(わかき)時は血気未だ定まらず、これを戒むること色に在り。
その壮なるに及びては、血気方(まさ)に剛なり、これを戒むること闘(とう)に在り。
その老いたるに及びては血気既に衰う、これを戒むること得(とく)に在り。"



[口語訳]孔先生が言われた。『君子には守るべき三つの戒めがある。年少の時にはまだ血気が安定しておらず感情が不安定だ、この時には異性への欲求を戒めること。壮年の時には血気が充実して盛んになる、この時には闘争を戒めること。老年の時になると血気は既に衰えている、この時には欲深さへの戒めが大切である。』

陽貨7

子曰く、由よ、女(なんじ)六言六蔽(りくげんりくへい)を聞けるや。
対えて曰く、未だせず。居れ(おれ)、吾女(なんじ)に語(つ)げん。
仁を好みて学を好まざれば、その蔽や愚。
知を好みて学を好まざれば、その蔽や蕩(とう)。
信を好みて学を好まざれば、その蔽や賊。
直を好みて学を好まざれば、その蔽や絞(こう)。
勇を好みて学を好まざれば、その蔽や乱。
剛を好みて学を好まざれば、その蔽や狂。



[口語訳]先生が言われた。『由よ、お前は六つの言葉に付随する六つの害(六言六弊)を聞いたことがあるか』。子路は申し上げた。『いまだ聞いたことがありません』。『そこに座りなさい、私がお前に教えてあげよう。仁を好んで学問を好まないと、その弊害として愚かになる(人から愚劣と見なされる)。智を好んで学問を好まないと、その弊害としてとりとめが無くなる。信を好んで学問を好まないと、その弊害として人をそこなうことになる(自分が騙されてしまう)。正直なのを好んで学問を好まないと、その弊害として窮屈になる。勇を好んで学問を好まないと、その弊害として乱暴になる。剛強を好んで学問を好まないと、その弊害として狂乱に陥ることになる』