記号コミュニケーション用語
記号コミュニケーション用語
以下に思考の中で使った独自の用語意味を示す。
- 言語の無限循環システム
- 言語はその表現(シニフィアン)に対する意味(シニフィエ)を表現(シニフィアン)で表すというパラドクス構造をもっている。たとえば「りんご」という表現の意味は「赤く丸く甘い果物」という表現で表される。そしてさらに「赤い、丸い、甘い、果物」という表現の意味は?・・・・という無限循環システムであり、これは存在(言語)認識を存在(言語)認識するという、内的な方向性をもつ。すなわち言語は自己の内部を開拓する、構造化する機能をもっているのである。
- 言語認識の破れ
- 言語は存在認識であり、世界を言語認識するということは、世界のすべては言語化されなければならないということである。「無」は「有」の言語的差異により生まれた。しかし同時に「無は有るか?」という言語的パラドクスを生む。「無」は「認識の破れ」である。「有」でない存在は塞がれなければならないが、「無」はなんであるか答えることはできない。そして「他者」でない存在=「私」も同じような「認識の破れ」である。(=ゲーテル的決定不可能性)
- 自他同期性
- 生物学的同種においては先天的に密接なコミュニケーションが可能であること。「他者」とは自他同期性のある存在である。
- 心象構造の同期行為
- コミュニケーションとは、主体が主体の内部に起こった心象を客体の内面(心象構造)に再現させよう(複写)しようとし、客体が主体の内部に起こった心象を、客体の内面(心象構造)に(複写)再現しようとする」こと、相互理解を深める行為。
- 心象構造
- 記憶。記憶とは①先天的記憶、②後天的文化記憶、③後天的個体記憶でできている。
- ①先天的記憶
- 自他同期性は、記憶形成の時間長さから考えて①先天的記憶(遺伝子情報)がほとんどを閉めている故に、同種において可能となる。
- ②後天的文化記憶
- 言語は①先天的記憶による自他同期性をもとにした②後天的文化記憶である。人は言語により記録媒体との間で重厚な②後天的文化記憶を獲得した。
- ③後天的個体記憶
- 人は物理的な脳の構造からより多くの③後天的個体記憶を持つことができる。
- 未理解と消費
- 私と他者は心象を完全に同期させることは不可能である。私と他者の間にはたえず未理解がある。そして心象構造の同期行為とは私と他者の間の未理解を駆動力として、消費が反復されることである。そして他者との未理解を消費することにより、私の心象構造は絶えず書き換えつづけられるのである。すなわちコミュニケーションとは私が絶えず再生産されつづける行為である。
- 記号消費と人格消費
- 記号意味未理解と消費することを記号消費と呼び、心象未理解を消費することを人格消費と呼ぶ。これらは独立したものでなく、コミュニケーションにより相補的に解消される。記号論的にいえば、コミュニケーションの対象は他者だけではない。記号論、存在論的にコミュニケーションするとは、世界を認識することであり、世界と心象同期化しようとすることである。さらに私が「私とはなにか?」と私に問う時にも、「私とはなにか?」と問う私とそれにより「意識された私」の間に絶えず未理解が生まれる。問う私はその未理解を消費しようとしているのである。そして意識された私は問う私にとって差異を持つ「他者」なのである。
- 自己化と他者化
- 私が世界とコミュニケートするということは、私を他者化し、世界を自己化する行為である。そこには世界と共生したい姿と、世界を所有したい(征服したい)という姿がある。これらは同じ行為の裏表である。
- 記号組織化
- 大衆により記号が消費される中で、記号表現に対する記号意味が自己組織化的に(自律的に)成長しつづけ、虚像化する。デリダ的に解釈では、記号同一性(幽霊)を容器(コーラ)として、散種が自己組織化し、大衆虚像価値(=怪獣)を生み出していく。