なぜ資源価格高騰こそが環境にやさしいのか

pikarrr2008-10-03

なぜ燃料電池は失敗したのか http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20081001からの続き。

考える名無しさん
日本の高度経済時代には、資源輸出国家が、資源消費加工商品輸出国家よりも、主導権を握っている事はなかった。今は、G8に見られるような先進国に追いつこうとする国が、BRICSを先頭に、その数を増やしている。今後は、南米・アフリカと今まで経済的には全く進歩していない諸国(地域)が、現在の先進国並みの現在発展を達成するかもしれない。

この時に、世界のエネルギー需要はどうなるのか?また、温暖化による気候変動がもたらす農作物・水産資源へのダメージはどうなるのかを考えねばならないだろう。

この様に考えると、需要面や投機筋の動きから化石燃料の高騰は避けられないだろう。そもそも、鉱物資源・穀物商品相場の高騰は、アメリカのドルの海外への過剰流出に原因がある。つまり、アメリカが持続的に国際収支を赤字に保つ事で世界にドルが過剰に存在する事から現れた現象なのだ。つまり、過剰に垂れ流された通貨ドルは、何かによって利殖しなければならない。各国にある余剰ドルは利ザヤを求めて、世界を巡るわけだがその矛先が商品相場であり、特に短期的に高騰が推測荒れるエネルギー分野がターゲットになっている事が、今回の原油高騰の背景になっている。

この様に、資源国家の方が、加工国家よりも優位にあると言う状況が、続くことはありえない。原料産出国は、多くの場合後進国であり、自国に眠る資源の意味=価値は、先進欧米諸国に教えられたのであり、ボーリング技術にしても、同様に、自国では全くなかったのだが、時を経るに従って、自国の愛国心の台頭に基づき、国有化を進めるようになったのだ。この自国への主導権の移動自体、何も問題はない。

この低開発国が、先進諸国の欲する物を供給する事で、潤い自国の生活水準の向上をもたらし、ひいては、世界中の人々が平和になると言う可能性をも秘めているからだ。

ところが、この産出国(この場合石油のみを指す)の多くが反資本=反欧米主義にあることが問題な訳だ。確かに、サウジアラビアの様な親米国もあるが、いずれにしろ原料供給国主導による原料消費国への揺さぶりには、耐えられそうもないと言うのが実情である。アメリカは石油輸入によるエネルギー政策を見直すだろう。その一例が、国際的な穀物であるメイズ(トウモロコシ)のエネルギー利用がそれである。

このアメリカのエネルギー政策転換によって、メイズ輸入による食糧に依存していた主に低所得国家では、異常な状況になりつつある。理由が何であれ、大国の自国の理由によって、食糧と言う生きる為に最重要の食物が失われると言う事が本当に許されるのだろうか。

この様な状況をもたらすものが、高く売れ、利益をもたらす方に商品が流れると言う、資本の原理なのだ。資本主義は資本の最大利益をもたらすと言う基本原理によって動いている。

この様な資本の運動は、先にテーマとなってあげている、グローバルな決定機関による統制機能がないと、このような暴走に歯止めがかからなくなる。グラムシ=柄谷はこの事を示唆して、アソシエーション(NPONGO・NSM)の重要性を説いている。つまり、資本の運動を市民社会の中に取り込む必要性を説いているのだ。市民社会とは、利益に基礎を据えるものではなく。人類にとって必要なものを基準としているのだ。

考える名無しさん
エネルギー=CO2の問題については、一刻も早く、非化石燃料の開発を進めるべきである。例えば、太陽光・風力・地熱・潮流による発電であれば、CO2はゼロな訳だし。産出国に依存する事もない。

エネルギー削減技術、代替エネルギー技術の進展速度<地球温暖化速度。先進諸国の中央行政のキャリアは皆、この事実を知っている。開示すればパニクるだけだから。そこで、持ち上げられるのが、エネルギーに依存しない生活スタイルに変えようという評論家や学者。

pikarrr
ボクの話に補足していただいてありがとうございます。さらにいくつかの補足を。

石油の代表とする資源高騰の要因は専門家の間でも、投機の影響と、実際に需要と供給を反映している意見が分かれているところです。

重要なのはこれらは分割できないことです。たとえば中国の対応に顕著ですが、今後も経済成長するために将来に向けて、世界の資源の確保を進めています。今ある資源を買うということではなく、長期にわたり囲い込もうとしている。このような傾向は日本でも商社が油田開発に投資するなどで行ってきましたが、中国が行っているのは国家戦略として行っているために、一般的な企業では太刀打ちできません。

このような将来に渡る資源の取り合いが世界中で起こっていることが、資源へと投機を促進しているのです。だから長期的にも資源価格は高い水準になると思います。

このような資源価格の高騰によるメリットは、代替エネルギー省エネルギーが促進されるということです。
資源が安いのに環境問題を倫理的に訴えてもまともに相手にしませんが、そこにお金が絡むと必死になるでしょう。

考える名無しさん
米国傀儡国クウェートをはじめ、エネルギーの自国取り込み/囲い込みは今に始まったことではない。それと、「このような資源価格の高騰によるメリットは、代替エネルギー省エネルギーが促進されるということです」というのは朝日や日経等のマスコミの論調と変わらない。問題の所在は、代替エネルギー実用化技術の進展速度<地球温暖化速度」

pikarrr
かつての帝国主義的な資本国の囲い込みは難しいでしょうから、そこには経済原理が働く以上、資源を持つものの発言権が増すことはさけられないでしょう。エネルギーは国家戦略として運営されることから、これから国家が重視される保守傾向が世界的に増すと思います。

このように国家がより重要になる中で、グローバルな決定機関の議論は意味がないと思います。世界共和国も、超国家も可能性はありません。あくまでサヨの思弁的な理想で、今後も国家間の戦略関係の中で世界は進みます。

自然エネルギーは、環境との微妙な関係によるので、一定の普及しかしないでしょう。たとえばかなり安定して風がふく環境がなければ風力はつかえないなど。

なんといっても手っ取り早いのは原子力です。様々な反対がある中で、このような資源問題を背景に原子力発電の重視されています。良い口実になっています。

正直、環境問題には偽善が絶えず伴います。たとえば電力の多くはエアコンによって消費されていますが、エアコンが日本で普及したのは、20年ぐらいです。その前は寒い、暑い中で生きていたのです。だから環境対策をしたいなら、エアコンなどやめればいいのです。

誰にどれだけ負債がかかるかわからないアバウトな環境問題よりも資源高騰が人々によってまじめな問題です。

ボクが保守派であるのは、このような状況の中で日本はどこに競争力、国力を見出していくか、考えなければならないということです。いままで日本の得意であった、技術力、品質力などは、そのうち中国に追い抜かれるでしょう。どこにもまして早く高齢化し、活力の低下する日本はどこへむかうのか・・・

wisteria-1
ヒトが地球環境を守れるかというと、ヒトは「理性で経済を抑制できるほどの生物ではない」、と憶測する。

pikarrr
現代、理性にどれほどの価値があるでしょうか。現代の秩序の基準は、「マクロな秩序」です。フーコーがいうように十八世紀の人口拡大によって、主権から統治へと重点は移りました。最初に表されたのが、経済学です。アダムスミスの「神の見えざる手」など、経済学はマクロ秩序の学問です。そして思想的に重要であるのが、進化論(自然淘汰)です。ダーウィンマルサスの人口調整論に影響されたのは有名です。

理性に訴えて、環境に優しくするよりも、マクロ秩序を作動させる。資源への渇望が資源価格を高騰させる。資源価格の高騰が資源使用量を削減させる。資源使用削減が環境に優しく働く。

しかしマクロ秩序は「神の見えざる手」自然淘汰のように自然現象ということではありません。フーコーがいうようにそれは「統治の技法」として作動します。たとえば現在問題になっている金融関連も、国策として様々な規制解除などの戦略によってによって促進されたのです。自然に生まれたわけではありません。

その意味で、資源問題、環境問題も、それぞれの国の戦略が重要になります。そのときに重視されるのが、理性へ訴えるのではなく、マクロ秩序戦略です。そして日本はいかなる戦略をもち、生き抜くのか。

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*1:本内容は2ちゃんねる哲学板 「資本と国家と、時々、ネーション」http://academy6.2ch.net/test/read.cgi/philo/1222399221/からの抜粋です。内容は一部修正しています。

*2:画像元 http://4travel.jp/domestic/area/toukai/aichi/toyohashi/atsumihanto/travelogue/10224153.html