なぜ日本経済は低成長化するのか

「日本の真のグローバリズムはこれからなんじゃないかな」 http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20090511#p1について

金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
古代なら人口減少は経済衰退を意味しただろう。中世までは人口減少は需要の減少を意味し、それは供給の減少も意味した。しかし、産業革命以降急速に技術革新が進んで、もはや必需品を作り出すのに特別な努力、知識、資金が必要ではない時代になり、人口減少が供給の減少を意味しなくなった。

人口が減れば必需品の需要も減る。それは必需品の生産も減ることを意味する。これらはほとんど正の比例関係にあると言えるだろう。しかし、必需品は減っても、所得が増え続ける限り便益品の需要は増え続ける。ここが日本の今後の発展を意味している。

つまり、「もうがむしゃらに働くのは止めよう。質素でも趣味の世界に生きよう」は、デフレで生産が余り、かつ人口減少で必需品の需要も落ち込む中で、相対的に便益品の需要が高まってきていることを示しているものである。つまり、国民一人当たりの所得が増え続ける限り、便益品は成長する。

もし、ここで生産余力が十分にあるのであれば、将来にわたってインフレを抑えられる。であれば、単純に総需要を伸ばして、国民一人当たりの所得の伸びを人口減少による必需品の減少を上回るようにしてやれば、十分に成長できるということを意味している。

ということは、日本にとって成長に関する制約は、「人口の減少」ではなく、労働人口減少に伴う生産の減少」ということになる。ここで人口減少を食い止める何らかの手段を講じれば、人口が減少し続けても、成長し続けられることを意味する。

従って、自動化の推進、人口減少の緩和、余剰労働者、外国人労働者の受け入れなどによる労働力の不足を回避する方法が必要となってくる。

だが、ここで安易に外国人労働者を受け入れるということは、日本が外国の失業や貧困を輸入することになるだけである。日本の経済は過熱しておらず、むしろデフレから脱却できないでいる。したがって、当面外国人労働者の受け入れは得策ではない。失業率が上昇することにより、むしろ景気の頭を抑えることになりかねない。

一方で余剰労働者、特に失業者対策はマクロ政策ですぐにでも実行可能である。インフレ率を緩やかに上昇させることにより、ある程度失業は抑えられるのである。(もちろん、個人消費がインフレ率を引き上げる「デマンドプル型インフレ」であることが条件だが)

更に自動化、少子化もデフレとは密接に関係ある。デフレの場合、実質金利は下がらないのでマネーが投資に向かわない。少子化も労働者の賃金が下がれば加速する。従って、「閉塞感」を本気で打開したいのであれば、緩やかなインフレ状態にしてやることが必要なのである。

pikarrr
所得が増え続けるとなぜいえるのか。日本では内需自体が閉塞して、外需頼みなっていることが問題になっている。それは需要を伸ばすだけのイノベーションが起こらないことを意味している。人々はもう欲しい物はない、というインセンティブ不足に陥っている。

外国人労働者を受け入れなくても、国際競争によって、富とともに「貧困のグローバル化は進む。自然と日本は世界的に裕福な国ではなくなる。

外国人労働者を受け入れることのメリットは単に労働力だけではなく、アメリカのように「活力」を生み出すことにある。そして日本社会が閉塞することを回避する。

長期的に見れば、「日本人」という囲い込みは限界を迎える。いままでのようにケインズ的インフレ政策は限界だろう。高齢化、少子化によって、消費・生産そのものへのインセンティブがわかない。

金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
デフレなんだから所得は増えないし内需も増えない。当たり前。

欲しいものが無いのなら、お前さんの貯金を俺におくれ。欲しいものは無いんだろう?イヤだというなら将来の消費の予約が欲しいと言ってるんだよ。あるいは貨幣が欲しいといっている。貨幣愛、つまりデフレに対する、一個人としての典型的な陳腐な反応をしているに過ぎない。

カツリョクってなぁに?

pikarrr
内需が伸びないのはいまにはじまったことではない。デフレは最近の事後的な反応でしかない。なのに日本には貯蓄が有り余っている。これもデフレよりも先行するベタな流動性選好。正確には将来の不確実性への過剰な備え。

経済成長を説明するのはカツリョクしかない。イノベーションへのインセンティブ

金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
【日本には】貯蓄は有り余っているってのは現在もそうだよ。昔と変わったところは投資先が物価に関与する実物経済中心か。物価に直接は関与しない金融資産などのマネー経済中心かってところでしょうかね。デフレだからより流動性選好って話になると思うけどね。

貯蓄の主体が家計から企業へ、中流層から富裕層へと変化してるのもあるかな。こっちは制度の問題かな

金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
所得が増える=経済が成長するということだ。そして需要≠欲しいものがある、である。また、需要がない≠欲しいものがないである。欲しいものと需要は関連はあっても等しくはない。

例)がん治療・・・癌になりたいと思う人間はいない。すなわち癌にならない限り、がん治療の必要性はない。だが、全体で癌の発生率が上がれば、がん治療の需要は増える。そして、がん治療がより快適で延命の確率が高くなれば高くなるほど必要性が増してくる。

ぼくちゃん今欲しいものがありませーん。には経済学的な意味はほとんどない。

「貧困のグローバル化が進むとすれば経済活動を止めるということだ。つまり、貧困には経済活動のインセンティブは存在しない。

pikarrr
経済学的な意味があってもなくても、これでは永続的な経済成長は説明できないよ。活力=イノベーションへのインセンティブ=ほしい!が必要。

「貧困のグローバル化とは国家間の競争を考える必要がある。経済学者が比較優位を主張しようが、競争があることは避けられない。

「日本人」という囲い込みは、流動化を妨げて、イノベーションへのインセンティブを停滞させる。

金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
経済が発展するのは所得が増えるから。効用がないものには投資されないが、人間が生きていく限り何らかの効用を求められている。それがインセンティブになる。イノベーションはその結果に過ぎない。

「貧困のグローバル化は国家間の競争に関係するという、考え方では貧困は広がるだろう。なぜならば、グローバル化自体にはインセンティブは無く、個々の需要がグローバル化を進めているだけだからだ。もし貧困がふえるならば、それは人々が貧困を求めているか、または別の問題(デフレなどによる経済の停滞)を意味する。

金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
創造的破壊論者って根強いな。竹森センセの本で木っ端みじんに論破された訳だけど

pikarrr
限界効用逓減に反している。成長には広義のイノベーションによるブレイクスルーが必要。経済成長はそれほど当然の現象ではない。あきらかに日本は低成長化している。

貧困は絶対的な貧困というより格差の問題。市場経済上の格差はあたりまえの事実であり、そこには国際的な競争がある。

金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
そのブレイクスルーが力強いんだよ、日本は。実質成長や潜在成長を見る限り、先進国中では高い部類。デフレによる遊休設備や失業の発生にもかかわらず。

pikarrr
イノベーションへのインセンティブなる不可解な言葉が意味するのは、流動性選考の裏面、不確実性選考。リスクを考えるとイノベーション、未開開拓=グローバル化なんて危険なことをやることに合理性はない。そこに働くのは危険をおかしてももっと儲けたいというパイオニア博打精神。これがないと長期的に継続する経済成長はない。

確かに日本はイノベーション好きだが、いまでは重箱の隅をつつく状態になるわ、資源を大切にと環境問題のジレンマにおちいるわで、もう未開(作りたいもの、ほしいもの)がない状態。そして理系離れが進む。 グローバル化といわれても世界は危険で汚くて、適度に豊かなんだからみんな日本で楽しくやろうよ状態。それがイノベーションへのインセンティブ低下による慢性的な低成長。

ただ経済成長を賭博性だけでかたるのはおかしくて、長期的な成長はその場所に蓄積される人材、設備などの環境優位性に支えられる。だから一時的な不況で流動性選考が働いても長期的には回復する。それがいまの日本。

しかしその蓄積も、若い世代が親の財産を食い潰す経済成長ニート状態にあることもいなめない。中国にぬかれるのも近い?

金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
今の日本は長期デフレで活力さえ無くなったようですね。人材輩出ができなくなってきています。

多国籍企業のアジア本部を見渡すと、日本人ヘッドはGEアジアパシフィックプレジデント兼CEOを経て日本GEの会長になった藤森義明さんぐらいしかいなくなった。日本人と韓国人を並べて国際的な舞台で競争させたら、個人の能力だけで判断したら今は明らかに韓国人のほうが強い。国連の潘基文事務総長のようなタイプの日本人はなかなか出てこない。

台湾人(中国人)はもっと優秀で、中国語も英語もできて、日本語もペラペラという切れ者がゴマンといる。今、東アジアでトップマネジメントの能力ランキングを出せば、トップ50に台湾人と中国人で35人ぐらい入り、韓国人が10人。残り5人を日本とタイとインドネシアで分け合うというのが実情だろう。インドまでアジアだ、と対象を広げると、インド人は中国人の2倍以上になるだろう。

それぐらい日本人は気概も覇気もない民族に成り下がってしまった。いまだに世界から愛される製品をつくり続けていられるのは、戦後第一世代の遺産が大きいからだ。情けない話だが、このままでは間違いなく日本人はアンビションを持った中国人や韓国人にグローバル企業においては使われる立場になる。

大前研一の日本人論―活路を開いた男たちの志、気概に学ぶ」 http://president.jp.reuters.com/article/2008/12/16/71B60B40-C754-11DD-A5D9-6CE03E99CD51.php




参考

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4400.html


日本経済の推移の最も基本的なグラフとして経済成長率の推移が掲げられることが多いが、上図はそれである。なお、ここで経済成長率とは、実質GDPの対前年度増減率のことであり、経済規模がどれだけ伸びたかをあらわしている。

景気変動により毎年の変動は小さくないものの長期的な傾向としては、高度成長期から安定成長期、低成長期へと移り変わるにつれて経済成長率が段階的に低下してきた点が図を見れば一目瞭然である。