さしこ復活 ゆび祭り

「こんなバカな私を、ずっと応戦してくれる人だって・・・」「いる〜!」





西洋中世というのはローマ帝国の物語から一気に枝分かれして複雑だ。一つはヨーロッパ史キリスト教史、イスラム史、あるいはビザンティン帝国史・・・。しかしなにが大きなパズルのピースが抜けている気がしてしっくり来なかった。というのが、それぞれが並行に進んで、突然十字軍で交差する。

「ローマ亡き後の地中海世界 塩野七生を読んで、ピースがはまった気がした。ここにあるは、ローマ帝国の残骸が、ヨーロッパとイスラムとビザンティンに挟まれた生き延びて、そしてルネサンスへとつづく。そしてやはりそれぞれが並行に進んでいたこともよくわかる重要なピースである。しかしなぜか、他ではほとんど語られない西洋の黎明期である。

人間とは、良かれ悪しかれ、現実的なことよりも現実から遠く離れたことのほうに、より胸を熱くするものである。つまり、心がより躍るのだ。中世人の信仰心が集ったからこそ、十字軍は起こったのである。だがそれ信仰心の向かう先は、聖地でなければならなかった。聖地の奪還であったからこし、あれだけ多くの人々を巻きこんだ、あれほども長くつづいた大衆地中海の海賊運動になったのである。拉致された不幸な人々の奪還では、一時的には十字軍であっても、連続した十字軍にはならなかったのだ。そしてこれが、ヨーロッパの歴史では、地中海の海賊という一千年もの間つづく現象が、重要視されることが少ない理由ではないかと思っている。P220-221


ローマ亡き後の地中海世界(上) 塩野七生 ISBN:4103096306

参考:
イスラームから見た「世界史」 タミム・アンサーリー ISBN:431401086X
世界の歴史10 西ヨーロッパ世界の形成 中公文庫 ISBN:4122050987
中世ヨーロッパの歴史 堀越孝一 講談社学術文庫 ISBN:4061597639