坂口ふみ著書

pikarrr2012-09-29


最近、坂口ふみの本を読んでいる。著作は3冊しかなく、今週四冊目が発売された。個の誕生をと信の構造を読んで、いま新刊のヘラクレイトスの仲間たちを読み始めたところだ。ヘラクレイトスの仲間たちは、人でつむぐ思想史のシリーズ1で残り2冊が発売される予定らしい。

坂口ふみの著書


“個”の誕生―キリスト教教理をつくった人びと 坂口ふみ ISBN:4000028979
信の構造―キリスト教の愛の教理とそのゆくえ 坂口ふみ ISBN:4000234455
ヘラクレイトスの仲間たち(人でつむぐ思想史1) 坂口ふみ ISBN:4906791050
天使とボナヴェントゥラ―ヨーロッパ13世紀の思想劇 坂口ふみ ISBN:4000240277

坂口ふみは現在、東北大学名誉教授。1933年生まれというから77歳か。専門は西洋中世哲学、すなわちキリスト教神学である。名著といわれる1996年発売の個の誕生は、難解であるにもかかわらず、発売されてすぐに5版まだで印刷されたという。

ボクたちは西洋人の感性がボクたちと大きく違うことを感じている。よく言われるのが西洋人は個人主義だ。まだその特徴にキリスト教が大きな影響を与えていると言われている。しかし実際にはそれがなになのか。さらにはキリスト教の精神性とはどのようなものか、よくわかっていない。

彼女の本が難解であるのにおもしろいのは、学術的ないようにも関わらず、その根底に西洋人とはなにものか、という日本人にとって興味深いテーマが流れているからだろう。西洋人の起源としての西洋性を古代および中世の歴史と思想史を通して、あぶり出そうとしている。それは裏を返せば、西洋人とは違う日本人とはなにか、につながっている。特に個の誕生では、ギリシア思想とキリスト教が深くつながりつつ、対立するその現場で、個の中の個という純粋性が生まれ出る現場を時系列的にスリリングに描かれている。