日本経済史 石井寛治 ISBN:4130420399 

pikarrr2016-12-28

14世紀

  • 南北朝の内乱を画期として荘園領主の力が衰え、在地領主の進出が顕著になる。
  • 名主加地子(かじし)を支払える小農民経営が多数現れたため、名主上層は「地侍」として農民の性格を徐々に薄めて地主化。
  • 安価な鍬の普及(製鉄技術の革新)、稲の品種改良、木綿の普及。
  • 単婚小家族による労働で安定的な集約的農業生産。小農民経営


15世紀

  • 主上層と一般百姓が結びつき、強力な自治権をもつ惣村の登場。
  • 応仁の乱までは、荘園は室町幕府の荘園制維持策に支えられる。
  • 荘園、幕府、土倉の没落。


16世紀

  • 国人領主(有力在地領主)が地侍を家臣団に編成し、相互に対立。戦国大名領は国人領の集合体。
  • 信長、秀吉の強さは常備軍。小農民経営から「加地子」をとる寄生化した名主上層が主力となり常備軍ができた。
  • 太閤検地。現実の耕作者が年貢納入の責任者として農民相互で耕地の権利を保障。加地子を年貢とともに収取し、名主上層は権利を失い百姓扱い(下克上基盤の喪失)
  • 他領への転出の禁止(土地緊縛)、刀狩令(下克上基盤の喪失)


17世紀

  • 小農の自立。複合大家族が解体し、血縁家族5名前後。村落共同体=近世村落
  • 鎖国→対外貿易の利益を幕府が独占する体制
  • 寺請制→人民の支配体制の完成、個別人身把握、身分制
  • 元禄期の繁栄、年貢米の商品化を起点とし三都を中心に展開される領主的商品経済。


18世紀

  • 人口、耕地が伸びない停滞期だが、経済は発展。
  • 農民的商品経済の展開。年貢の余剰を確保し、新しい生産関係を創出。
  • 小農技術体系が農書を通じて全国各地に伝えられる。特産物生産が興隆。
  • 農民相互の商品交換(農民的商品経済)。豪農
  • 領主階級の支配力の低下。
  • 享保の改革。地主・商人の興隆に対する支配体制の再編。年貢米の増微、物価対策。
  • 田沼政治。都市特権商人と結びつき年貢増微を迂回的に実現。農民的商品経済を株仲間の公認として従属。


19世紀

  • 寛政改革。農民経営の再建・保全を農政の基本に据える。
  • 農民的商品経済が豪農クラスから中下層農にも広がる、局地的市場圏を生み出す。
  • 社会分業が深まる。マニュファクチャの展開。
  • 天明の飢饉。農村でも半プロレタリア化して飯米を購入して暮らす人々がふえて、米価の高騰が生活を直撃。
  • 天保の改革 株仲間解散令。都市特権商人の流通独占権を否定し物価引き下げを狙う。しかし失敗し幕藩制的土地所有編成が崩壊しつつある。
  • ペリー来航。資本主義世界市場への日本社会の強制的編入
  • 不平等条約。幕藩支配力の維持・回復を気にして、不平等事項について議論にならなかった。国内産業の立場(国民的利害)への配慮がなかった。