ジャングル化する社会を生き抜く3つの方法 その2

pikarrr2006-02-05

⑦ジャングル化する社会を生き抜く3つの方法

ジャングル化する社会を生き抜く方法とは、簡単に言えばいかに「生き生き」しつづけるかということです。 かつてのサバイバルが豊かさによる「生死」であったのに対して、現代においては「生き生き」できないものは「落ちてゆく」 。「生き生き」することが「生死」を賭けるサバイバルである。


1)フリーターの知・・・「ヘタレサイクルを回せ!」

ジャングル化した社会で、現代の豊かさになれ甘えた人々が生き抜くには保守化する必要があるだろう。適度な欲望を解消し、耐え続ける。そして少しでも緩和するために、「ヘタレサイクルを回す。」ゲームを楽しみ、オタク的にちょっとしたクリエイトもして、仕事のほどほどにこなす(これをぼくは「ヘタレサイクル」*1と呼ぶ)もしか、もしか、もしかすると、直木賞でも取れたりして・・・ていうささやかな楽しみで生きる。そして回帰する「私とはなに?」「なんのために生きているのだろう」という不安をやり過ごす。

「フリーターの知」とは、ジャングル化する恐怖の世界で、檻に入り、容易に手に入る無垢で満足する。甘やかされた者の超保守化である。



2)エリートの知・・・「テクニカルを磨け!」

ジャングル化社会で、下流がいやなら。努力するしかない。ドラゴン桜では、「大学受験だけが一生で唯一、努力さえすれば誰でもチャンスが得られる機会だ」というセリフがあったが、これが意味するところは、受験ぐらいで「勝ち組」になれるなら楽なもんだ。ここには、「ジャングル化した社会では、「競争社会」で勝つぐらいで、「本当の勝ち組」にはなれないが、」というアイロニーがあるのではないだろうか。だからなおさら努力する価値がある。競争社会の中で勝ち組になり、そのエリート意識で生きていく。

「エリートの知」とは、ジャングル化する世界で、檻の中で一番になることを求める。現状を支えるという保守化の一つでもある。



3)芸術家の知・・・「己の欲望に譲歩するな!」

物質的な豊かさこそが幸福であり、「競争社会」で勝つことが幸福であるというのは幻想である。幸福は「この私」という充実であり、人それぞれの方法論があり、これは競争ではない。しかし安易な「社会に迎合しない」という言説は、「競争社会」に負けた者の遠吠えである。「己の欲望に譲歩せず」生きるとは、「競争社会」という幻想の構図への依存するよりも、孤独で、ストイックな方法である。物質的に貧しくなろうとも、たとえ朽ち果て道に倒れようとも、という覚悟が必要である。

「芸術家の知」とは、檻からでて、恐怖のジャングルに乗り出すことだ。しかしこれは運動としてとらえないといけない。当然、外にいくことなどできない。それは、外を目指し続ける姿勢である。それは、無垢を手に入れるという充実を得る可能性へ問いかけ続ける。またそれは朽ち果てるかもしれない。




⑧いかに生き抜くか


たとえば、様々な社会問題に対してどうにかすべきだ、という意見では、その多くに、「問題を単純化し、自分の不安の解消のネタとして、ストレスを発散し、安心する」という欲求不満解消の機能をしている。まさにワイドショー的マスメディアが大衆に与える商品である。このような娯楽性は「フリーターの知」であるといえるだろう。2ちゃんねるなども多くにおくてこのような機能で動いている。

「エリートの知」ではこのような社会問題をより積極的に、実働的考えるということであるが、そこにも、売名行為とまではいかなくても、優越感としての欲望解消の機能が働いている。2ちゃんねるには「やらない偽善よりやる偽善」という標語があるが、これは「エリートの知」のある種の開き直りであり、偽善性の排除の難しさを示している。そしてそれは単に間違っているということではない。

「芸術家の知」では、社会問題に対して、その目先に善悪でなく、自分がなりのやりたいことを掘り下げる姿勢である。このような「芸術家の知」に近いのは、宮台の「エリート」*2だ。宮台の「エリート」とは徹底的に現代を歴史主義的に客観視する能力を養い、時代を導く存在になることをめざす、そのようなエリートを教育しようという考えだ。ボクの「芸術家の知」はそこまで世界そのものに直結は考えていない。たえず世界を疑いつづける、そして意図的でなくても世界をかえる力になる姿勢だ。

これらは、基本的にはどれが正しいということではなく、ジャングル化する厳しい社会を、生き抜くための3つ方法ということだ。

*1:ヘタレサイクル <なぜ「ヘタレ化するポストモダン」なのか? その6> http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20051114

*2:限界の思考 空虚な時代を生き抜くための社会学 宮台真司北田暁大(2005) http://d.hatena.ne.jp/pikarrr/20051027